【規制改革】戦略特区で医学部新設や保険外併用拡充など/規制緩和方針決定
政府の日本経済再生本部は10月18日、国家戦略特区で展開する規制改革策を盛り込んだ検討方針を決めた。対象は医療、雇用、教育など6分野にわたり、このうち医療分野では、医学部の新設や病床規制の特例による病床の新設・増床容認などが盛り込まれた。今回の方針に基づき規制緩和策の具体化を進め、政府は今臨時国会に国家戦略特区関連法案を提出するなど、必要な措置を講じる。同法が成立すれば、年明けをめどに国家戦略特区の対象となる地域を指定していく。
国家戦略特区では、日本の経済成長の起爆剤となるビジネス環境を整えることを目的に、地域を限定して大胆な規制緩和を進める。医療分野は、国家戦略特区内に国内外の優れた医師を集め、最高水準の医療を提供できる国際医療拠点をつくることで、世界中の人が治療を受けたいと思う場所づくりを目指す。
今回まとまった検討方針では、医学部の新設について「高齢化社会に対応した社会保障制度改革や全国的な影響等を勘案しつつ、国家戦略特区の趣旨を踏まえ、関係省庁と連携の上、検討する」と記載。今後、実現させる方向で検討を進めるという。
10月18日に記者会見した国家戦略特区ワーキンググループ座長の八田達夫氏(大阪大社会経済研究所招聘教授)は、新設する医学部のイメージについて「国家戦略特区によって『外国からいろんな人を呼び込みたい』『世界に技術を発信したい』ということなので、医学部もそういう水準のものを考えている」と説明。例えば新設する医学部で、外国人の教員が日本の学生に指導するようなケースもあり得るとの認識を示した。
全国何カ所に医学部を新設する必要があるかという質問には「場所の選択と関係するので、今のところ議論はしていない」と答えた。
医学部の新設以外に盛り込まれたのは▽病床規制の特例による病床の新設・増床の容認▽保険外併用療養の拡充―など。
保険外併用療養の拡充は、政府の日本再興戦略に盛り込まれた「先進医療ハイウェイ構想」の取り組みを、国家戦略特区内で迅速かつ幅広く展開する。保険外併用療養の対象をより短期間で決定するほか、対象分野も抗がん剤や再生医療などハイウェイ構想を上回るペースで範囲を広げる。併せて対象技術の審査を民間の専門家に委託することも検討する。
このほか医師に関する2国間協定も見直す。従来、日本と協定を締結した国の医師が、日本で英語の医師国家試験に合格すれば、自国民に限って日本で診察することを認めていた。今回、この規制を緩和することを決め、協定を締結した国の医師が、日本で自国民以外の外国人も診察できるようにする。例えば米国人医師であれば日本で英国人や豪州人も診察できる。
国家戦略特区に限定しない全国的な制度改革として、臨床修練制度の拡充に取り組み、高度な医療技術を持つ外国人医師の受け入れを促進する。外国人看護師についても、高度な医療技術を持つ外国人医師のもとで看護業務を行うことができるように改める。2014年の通常国会に関連法案を提出する。(10/21MEDIFAXより)