【臨床研究】臨床研究指針、法制化も検討へ/厚労省  PDF

【臨床研究】臨床研究指針、法制化も検討へ/厚労省

 厚生労働省は、被験者保護や透明性の確保などを求めた「臨床研究に関する倫理指針」の見直し作業に着手する。12月27日にも専門委員会の初会合を開き、臨床研究倫理指針とは別に運用されている「疫学研究倫理指針」との一本化や、指針自体の法制化も含めた検討に入る。文部科学省とも調整した上で2013年春にも方向性をまとめ、パブリックコメントの募集を経て13年7月末の告示を目指す。指針見直しは08年以来、5年ぶり。

 論点の1つは、臨床研究倫理指針と関連指針との関係性の整理で、特に臨床研究倫理指針と疫学研究倫理指針の境界線が、分かりづらいという意見がかねて研究者から上がっている。このため、両指針の適用範囲を検証しながら、現行通り別々に運用するのか、それとも一本化するのかも含めて議論する。

 指針の法制化も検討課題となる。法的強制力を持たせることで被験者保護の規制をより強めることができるメリットがある一方、研究実施の手続きや手間が増え、研究を進めにくい環境が生まれてしまうことを危惧する声もある。専門委員会で規制と研究促進のバランスを意識しながら法制化の必要性が判断される見込みだ。法制化の方向になれば、被験者保護、研究推進のどちらに重点を置いた名称にするかも焦点で、関係者の意見も聞きながら慎重に検討される見通しだ。

 指針見直しに当たっては、米国でのI N D(Investigational New Drug)など、海外で導入されている臨床研究の届け出・承認制度も参考にする。国内指針と諸外国との制度比較をテーマとする研究班での検討が進んでおり、こうした意見も聞きながら国内導入の可能性を探る方針だ。臨床研究の実施に関する原則、データ捏造・改ざんに対応する新たな規定を盛り込むことも視野に入れる。

●倫理審査ガイドラインの作成も
 一方、臨床研究に関する倫理審査委員会の質向上に向け、倫理審査事例集や倫理審査ガイドラインの作成にも着手する。厚労省は13年度にも研究班などを立ち上げて具体的な作業を進める計画で、倫理審査委員会の認定制度の導入も検討する。国などが一定基準を満たす委員会を認定する仕組みで、今後、制度設計に必要な情報収集や調査に入る。(12/20MEDIFAXより)

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