【臨床研究】「弾力化」「地域枠」は両論併記/臨床研修見直しへ論点整理  PDF

【臨床研究】「弾力化」「地域枠」は両論併記/臨床研修見直しへ論点整理

 厚生労働省の「医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(WG)」(座長=堀田知光・国立がん研究センター理事長)は12月19日、医師臨床研修制度の見直しに向けた論点整理を座長一任で取りまとめることを了承した。同制度は5年ごとに見直すこととなっており、見直し後の新制度は2015年度にスタートする。医道審議会医師分科会・医師臨床研修部会は、WGの最終的な論点整理に基づき13年2月から議論を開始し、13年中には新制度の内容を固める。

 厚労省が提示した論点整理案に基づきWGとして最後の議論を行った。構成員からは「臨床研修でも、今後急増する75歳以上高齢者の疾病構造や多死への対応を何らかの形で到達目標として扱うべき」「医学生の臨床参加型実習を充実させることができた場合は臨床研修期間の短縮化なども含めて見直しを検討すべき」「卒前・卒後も含めた医学教育全体の見直しを継続していくことを提言すべき」などの意見が上がった。

 10年度から運用している「弾力化プログラム」については、以前の「7科必修」に戻す必要はないとする意見と、7科に戻すことも含めて必修項目を見直すとの意見を両論併記する形で論点とすることになった。

 地域医療に従事する意欲のある学生を対象とする入学選抜枠「地域枠」についても、現行通り一般枠の医学生と同様にマッチングに参加して臨床研修を行う病院を決定すべきとの意見と、別枠にして確実に地域医療への従事者を確保すべきとの意見を両論併記して論点とする。

●研修中の「研究」の是非は
 会合では、研究医養成と臨床研修の関係についても議論した。現在は臨床研修期間中は研究活動が途絶えてしまう状況にあるため、研修期間中の大学院進学などを認めるかどうかなどが議論となっている。

 岡部繁男構成員(東京大教授)は「万人向けではなく少数精鋭向けのシステムとして、臨床研修中もプラスアルファ(としての研究)が積めるといい」と述べた。小森貴構成員(日本医師会常任理事)は「2年間、完全に(研究から)切り離してしまうのは大きな損失」と述べた。

 一方、神野正博構成員(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)は「臨床研修制度だけの問題ではない」と指摘した上で「研修期間中の大学院進学は大反対。2年間の基礎研修中は研修に集中していただきたい」と述べた。岡留健一郎構成員(済生会福岡総合病院長)は「本当に基礎的な研究をする人を養成するコースをつくるべき」と提案した。(12/20MEDIFAXより)

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