【臨床研修】臨床研修の定員圧縮が目玉、15年度見直し合意/医道審・部会
厚生労働省の医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会(部会長=桐野高明・国立病院機構理事長)は11月28日、医師臨床研修制度の2015年度からの見直し内容についておおむね合意した。細かな修正は座長一任とし、修正後の報告書を各構成員が確認した後、決定版を公表する。
最大の見直し点は募集定員数の設定方法。現行制度では、各基幹型臨床研修病院が前年度採用実績の90%を下回らないよう設定できるため、都道府県別に設定している募集定員の上限を上回ることが可能。結果として全都道府県の募集定員総数が研修希望者総数を上回って推移しており、13年度は1.237倍の差がある。
15年度からは、都道府県別の定員上限を超えることは認めない。研修希望者総数に対する全体の募集定員総数の倍率を5年間で段階的に1.1倍まで圧縮することを目指す。都道府県別の上限は「基礎数」と「調整枠」で構成。基礎数は人口分布や医師養成状況、地理的条件などで算出し、基幹型病院に案分する。調整枠は毎年度設定する「全国の募集定員上限総数」から「全都道府県の基礎数合計」を差し引いた数を、直近の採用実績割合で都道府県に割り振る。倍率の圧縮に向けては、アンマッチの状況などを考慮し、調整枠を活用して修正する。調整枠の大きい東京など大都市部を抱える都府県の調整枠が減っていくイメージだ。
募集定員の設定方法見直しに伴い、募集定員上限が前年度実績を大きく下回る場合は、15年度に限って直近の採用実績を上限とすることを認める。厚労省が13年度の採用実績などを用いて新たな募集定員上限を試算した結果、前年度実績を唯一下回った京都(20人減)を念頭に置いた措置だ。
●「弾力化」の是非、5年後の見直しで議論
今回の見直しは、より質の高い研修を実施するための体制強化に向けた努力義務規定を多く盛り込んだものの「マイナーチェンジ」にとどまった。最大の焦点だった現行の必修3科と選択必修2科による「弾力化プログラム」を見直すか否かについては維持することを決め、次期見直しに議論を持ち越した。
報告書には、同検討部会の下に臨床研修の到達目標や評価手法について検討する場を別途設け、次期20年度の見直しに向けた検討を開始するとの方針を明記する。▽卒前の大学教育▽国家試験▽新たな専門医制度のスタート▽生涯教育―の連続性を考慮した総合的な検討が必要との考えも盛り込む。(11/29MEDIFAXより)