【臨床研修】激変緩和は廃止へ、都市部の定員大幅減も/臨床研修部会  PDF

【臨床研修】激変緩和は廃止へ、都市部の定員大幅減も/臨床研修部会

 厚生労働省の医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会(部会長=桐野高明・国立病院機構理事長)は5月23日、募集定員の激変緩和措置を2015年度の臨床研修制度の見直し後は継続しないことでおおむね一致した。激変緩和措置が廃止されると、募集定員の計算式の関係で、東京、大阪、兵庫、京都などの都市部で定員上限が大幅にダウンする可能性がある。桐野部会長は「相当なインパクトがあるだろう」とした上で、混乱を起こさないためにも段階的な変更が必要との考えを示した。

 募集定員数についてはこのほか「(都市部への集中を避け医師偏在解消のためにも)激変緩和措置をなくすだけでは不十分」(小川彰委員=岩手医科大理事長・学長)、「地域医療や高齢者医療の経験という意味では、募集定員に65歳以上の割合などを加味する制度設計にすべき」(山下英俊委員=山形大医学部長)などの意見もあった。

 地域の医師不足解消を目的に、地域医療に従事する意欲のある医学生を対象とする地域枠については、現行通り一般枠の学生と同様にマッチングに参加して臨床研修病院を決定すべきとの意見が相次ぎ、反対意見は出なかった。

●研修病院群の外形基準で賛否
 研修病院群の形成については山下委員が、大学病院と大小さまざまな医療機関が病院群を形成する外形基準を定めるべきとの意見を繰り返し強調。大学病院を含めた臨床研修病院群構想は全国医学部長病院長会議が提唱しており、同会議顧問でもある小川委員も同様の意見を示した。

 これに対し神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、研修プログラム責任者と指導者講習会を確実に受けた指導医がいるなど、研修に必要な人員が確保されており、研修プログラムも評価されている病院であれば十分とし「(外形基準を定めるなど)とやかく言う筋合いの問題ではない」と反論した。清水貴子委員(聖隷浜松病院副院長)も「どういう内容の病院群かがとても大切」とし、病院群を形成する範囲や形態、病院の規模などの外形基準ではなく研修内容が重要との考えを示した。

 現在月1回の頻度で開いている会合を状況次第で8月以降は月2回に増やすことを決めた。厚労省が提案し、委員から反対はなかった。厚労省医政局医事課医師臨床研修推進室の植木誠室長は会合後、記者団に「早ければ9月中にも見直しの大枠はまとめていただきたいと思っている」と述べた。(5/24MEDIFAXより)

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