【臨床研修】医学部地域枠、本格議論が必要/臨床研修部会、15年度見直し後に
厚生労働省の医道審議会・医師分科会医師臨床研修部会(座長=桐野高明・国立病院機構理事長)は6月27日、地域医療に従事する意欲のある医学生を集める目的などに活用されている「地域枠」について議論し、2010年度の医学部定員増に伴う状況などを見極めた上で、今回の見直しでは現状を維持しあらためて議論すべきとの意見が大勢を占めた。地域枠について、別に検討の場が必要との意見もあった。同検討会は15年度の臨床研修制度の見直しについて年内の報告書取りまとめに向け議論している。
地域枠は、大学が自主的に設定する場合と、各都道府県が地域の医師不足解消を目的に設定するケースがある。卒後勤務地の制限や奨学金返済義務の有無など、さまざまな形態があり、厚労省や文部科学省も詳細な全容を把握しきれていない。会合で厚労省は、現時点で地域枠を全国一律に定義付けるのは困難との考えを示した上で、将来的には臨床研修制度での位置付けなどの検討が必要になるとした。桐野座長も、医学部定員増に伴って卒業生もかつての7000人規模から9000人規模となり地域枠による影響も出てくるとし「個人的には少しずつ効果の様子を見ながら徐々に見ていくべきだと思う」と述べた。
●別途検討の場を
構成員からは「さまざまなスキームがある。まとめていただけないか」(小川彰構成員=岩手医科大理事長・学長)、「どの程度の地域枠を持ってよいなど、考え方を国が示すべき」(中島豊爾構成員=岡山県精神科医療センター理事長)、「文科省とも協力して詳細に報告すべき。国としても別途検討の場を設けて検討すべき」(小森貴構成員=日本医師会常任理事)などの意見が上がった。
医師臨床研修制度での都道府県の役割や、研修の中断・再開・修了などについても議論した。各都道府県の地域医療対策協議会が、臨床研修に進む医学生と臨床研修施設とのマッチングを微調整できるよう権限の強化を検討すべきとの意見などが上がった。研修の中断などに関連して、女性研修医の妊娠・出産・育児への配慮・支援が必要との指摘もあった。
京都府、青森県、東京医科歯科大、全国自治体病院協議会の代表者が臨床研修制度の見直しについて意見を述べた。京都府は、募集定員の激変緩和措置廃止に伴う定員減少率への配慮を求めた。東京医科歯科大医学部付属病院の田中雄二郎院長は、大学を含めた臨床研修病院群の創設などを求めた。全自病は弾力化プログラムへの反対意見などを述べた。(6/28MEDIFAXより)