【老人ホーム】養護老人・軽費老人ホームに新たな役割提案/厚労省・調査研究
厚生労働省の2013年度老人保健健康増進等事業「養護老人ホーム・軽費老人ホームの今後のあり方も含めた社会福祉法人の新たな役割に関する調査研究」の検討委員会は3月13日、地域包括ケアシステムにおける養護老人ホームと軽費老人ホームの新たな役割について記載した報告書を大筋でまとめた。介護ニーズ以外に生活する上で困難を抱える高齢者の増加を背景に、ソーシャルワークを生かした専門的支援機能の強化が求められるとした。
養護老人ホームは措置施設として、市町村が居宅生活が困難な高齢者を入所させ、社会的活動に参加するための指導や訓練などの援助を行う。11年10月現在、全国893施設(定員6万752人)に5万6381人が入所している。一方、軽費老人ホームは契約施設で、居宅生活が困難な高齢者が入所し、無料もしくは低額料金で食事提供など生活上必要なサービスの提供を受けている。全国2001施設(定員8万5220人)に7万9648人が入所している。検討委員会は養護老人・軽費老人ホームを運営する社会福祉法人からのヒアリングや自治体へのアンケート調査、さらに、検討委員会が設置した作業部会での議論を踏まえ、両施設の今後の役割について提案した。
報告書は、孤立や社会的排除、虐待、生活困窮など多様な生活課題を抱えた地域の高齢者に対する支援に向け、これまでの介護ニーズとは異なる側面での対応が不可欠だと指摘。両施設がこれまで行ってきた入所者への「居住支援」と「生活支援」に加え、地域にいる支援対象者も視野に入れた専門性の高いソーシャルワークが求められるとした。
両施設に共通して求められる機能には▽ソーシャルワークの強化▽ソーシャルワーク機能向上▽居住支援機能、生活支援機能の強化▽自治体、地域住民らの連携強化―を挙げた。ソーシャルワークの強化では「老人介護支援センター」を付属させて相談・調整機能を担うことや、地域の高齢者にも居場所を提供する「地域支え合いセンター」を併設整備することを提案した。
両施設がそれぞれ独自に求められる機能についても言及。養護老人ホームについては「施設機能の高度化」が必要になるとし、地域移行が困難な入所者への「伴走型支援」、地域移行が可能な入所者への「出口支援」に期待を示した。軽費老人ホームについては、地域ニーズに沿って柔軟に支援する機能の確保が求められるとした。
●社福の最大ミッション「地域ニーズへの対応」
報告書は、両施設を含む老人福祉施設の運営に当たる社会福祉法人の使命と課題にも触れた。最大のミッションは「地域包括ケアなど多様化する地域ニーズに応えること」であるとし、今後の課題として▽支援の視点を施設内から地域へ広げる▽過去の収支差額の集積の活用▽法人の経営理念に基づく事業展開―を挙げた。(3/14MEDIFAXより)