【総合診療専門医】研修プログラムの基本骨格でたたき台/総合診療専門医
新たな専門医資格「総合診療専門医」の運用開始に向け「研修プログラムの基本骨格」のたたき台がまとまった。日本医師会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議に加え6学会や現場の医師らで構成する「総合診療専門医に関する委員会」が3月28日に合意した。
同委員会は新専門医制度で中核的な役割を担う予定の第三者機関「日本専門医機構」(新機構)の設立準備をしている組織委員会が設置した。たたき台に基づき新機構で引き続き議論し、理事会と社員総会を経て正式に決まる。
基本骨格のたたき台は、医学部卒後2年間の臨床研修(初期臨床研修)を修了した直後の医師を対象にする3年間(36カ月)の研修プログラムで、構成は▽内科6カ月、小児科3カ月、救急3カ月の「基本診療科研修」▽大病院、中小病院、診療所のそれぞれで実際の診療に携わる18カ月の「総合診療に関する専門研修」▽外科、産婦人科、整形外科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科などで経験すべき必要症例数を定める6カ月の「関連診療科研修」―の3本柱。研修修了後は専門医資格取得のための試験を課す。
12カ月の基本診療科研修では、各科の指導医・専門医の指導下で「病棟管理」「全身管理」「外来管理」の基本的スキルや態度を修得する。救急については、3次救急での研修も要件とする。
18カ月の専門研修では、大・中・小病院と診療所をバランス良く回ることを前提に、▽一定規模以上の病院で臓器に特化しない総合内科などで経験を積む研修=最低6カ月▽総合診療専門医の「指導医」の下、診療所・中小病院での研修=最低6カ月―は必修とする。へき地や離島など、医療資源が十分でない地域での研修については、eラーニングでの研修を実績として評価することも検討する。
6カ月の関連診療科研修では、初期臨床研修との連続性を考慮し、それまで各医師が経験を積まなかった診療科などを意識して柔軟なプログラム構築を求める。
●2017年度育成開始へ、14年夏にも運用面まとめたい
同委員会は、17年度に第1期生の研修開始を目標に検討を進めてきた。吉村委員長は「14年夏までに総合診療専門医の指導医基準や、研修を実施する際に中心となる施設の要件、研修プログラム責任者の在り方、研修修了の評価法や受験資格などの運用面をまとめる必要がある」と説明。その上で「まずは制度を開始することが重要。運用しながら問題点を改善できればよいのではないか」と述べた。「総合診療専門医を取得した後のキャリア形成のほか、他の専門医からの『移行型』や、すでに地域で活躍している医師が取得するコースについて、同時進行で検討することが課題だ」とも指摘した。(4/1MEDIFAXより)