【総合合算】低所得者対策「保険の外で整理も」/香取政策統括官
厚生労働省の香取照幸政策統括官(社会保障担当)は7月31日、社会保障制度での低所得者対策について「保険の中から出すものは出して整理する必要がある」と述べ、医療・介護などの自己負担額を合算して上限を設ける「総合合算制度」の議論を契機に、保険原理の観点から医療・介護・年金など制度ごとに実施されている保険料一部負担の減免といった低所得者対策を見直していく考えを示した。
香取政策統括官は「社会保障制度の低所得者対策の在り方に関する研究会」(座長=駒村康平・慶応大経済学部教授)で、「現行の個別制度で行われている軽減措置のような低所得者対策をそのままにして、総合合算制度を設計することは考えていない」と述べた。
総合合算制度導入に向けた論点として▽応能負担による軽減措置(社会保険料の減免など)と受益段階での軽減措置の考え方の整理▽保険原理の観点(負担と給付)による補足給付の意味合いを持つ軽減措置についての整理▽公費投入の有無など保険財源が異なる各制度と総合合算制度との位置付けの整理―などを挙げ、時間をかけてじっくり議論を進める考えを示した。
制度導入の前提となる社会保障・税番号制度の導入で、国民一人一人の所得把握が一定程度進むことが期待できるとし、現行では主に「市町村民税世帯非課税」を基準としている低所得者の区分基準についても見直す方向性を示した。
秋ごろに開く次回会合では、総合合算制度について論点整理を行う。(8/1MEDIFAXより)