【精神医療】精神科医療への偏見、国が助長/日精協・山崎会長が批判  PDF

【精神医療】精神科医療への偏見、国が助長/日精協・山崎会長が批判

 厚生労働省の認知症施策検討プロジェクトチーム(PT)が6月に公表した報告書「今後の認知症施策の方向性について」に対して、日本精神科病院協会の山崎學会長は7月26日、厚労省内の専門紙記者クラブで会見し「精神科病院の医療に対する偏見を国が助長している」と指摘した上で、「認知症の人の長期入院を批判するなら、一般病床と同じように3カ月入院をルール化してほしい。現在でもわれわれは実践できる。ただ、地域に受け皿がない状態であり、一番困るのは患者本人と家族だ」と訴えた。
 病院の経営効率の観点からは、在院日数を伸ばすより短縮化して回転率を高めた方が高い診療報酬を算定できるとも指摘し、「好きで抱え込んでいるのではなく、受け皿がないから物理的に退院できない状況。そういう細かいことも分かっていない」と語気を強めた。

 さらに、PTの報告書について「行政が精神科医療の実態を適切に理解していないことの証明」と厳しく批判。医政局長、保険局長、老健局長、社会・援護局長らがPTのメンバーとなっていることに触れ、「行政のプロが精神科医療や認知症ケアの現場を理解していない。憤りを感じる」と述べた。 PTの報告書が、現在の認知症ケアは自宅からグループホームなどを経由し、施設や一般病院・精神科病院に行く「不適切」な流れであると指摘したことに関しては、「精神科病院以外に認知症の人を受け入れる場所がないことを棚上げしている国の政策の問題」と批判した。

 山崎会長は、PTの報告書が公表される前に厚労省から相談がなかったとし「寝耳に水だった」と述べた。「間違った政策に基づいて2013年度の概算要求にも反映される」と危機感を示し、「一番困るのは国民と現場の医療従事者。施策が間違っていても、作った官僚は2−3年でいなくなるが、医療現場での対応はずっと続く」と述べ、施策修正を求めていく姿勢を強調。PT主査の藤田一枝厚生労働政務官との面会を調整しているとした。(7/27MEDIFAXより)

ページの先頭へ