【精神医療】精神医療確保指針の中間まとめ/厚労省が公表
厚生労働省は10月11日、「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」(座長=樋口輝彦・国立精神・神経医療研究センター総長)の中間まとめを公表した。中間まとめは9月30日の同検討会の意見を踏まえたものだが、厚労省社会・援護局障害保健福祉部によると、大きな変更はないという。
精神病床の機能分化については▽急性期の患者に手厚い医療を提供するため、医師や看護師の配置を充実させる▽可能な限り1年以内に退院できるよう、多職種による退院支援を推進する▽長期在院者に対する退院支援や生活支援によって、地域移行を推進する―といった事項が盛り込まれた。
急性期の患者への医療提供について、中間まとめ案の「精神科入院医療における医師および看護職員の配置を手厚くするとともに、多職種による患者の状況に応じた質の高いチーム医療を提供し、退院支援等の取り組みを推進する」との文言については、委員の意見を参考に、「配置を手厚く」から「一般病床と同等の配置を目指し」へと変更した。
検討会で複数の委員から指摘があった「機能分化は段階的に行い、人材・財源を効率的に配分するとともに、地域移行をさらに進める。結果として、精神病床は減少する」との文言については、変更はなかった。
中間まとめは、主に精神病床の機能分化に関する事項を中心にまとめた。今後は精神障害者の地域生活に関する保健・福祉サービスや多職種連携についても議論を深化させ、12月をめどに指針案を取りまとめる。
●社保審・障害者部会に報告
厚労省は10月15日の社会保障審議会・障害者部会(部会長=駒村康平・慶応大教授)に、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」の中間まとめを報告。
竹下義樹委員(社会福祉法人日本盲人会連合会会長)は、中間まとめの本文で用いられている「自殺」は不適切として「希死願望」に変更することを提案した。同検討会の委員を務める広田和子委員(精神医療サバイバー)は「日本の精神医療はまだ国民のための精神医療になっていない」と指摘し、中間まとめが示す方向性に社会的入院の解消を盛り込むべきと訴えた。
これらの指摘を踏まえ、同検討会は10月17日から議論を再開する。精神障害者の地域生活に関する保健・福祉サービスや多職種連携についても議論を深め、12月をめどに同指針案を取りまとめる予定。(10/15、16MEDIFAXより)