【精神保健】精神科医療、手厚い配置で地域移行/厚労省検討会が意見整理
厚生労働省の「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉総合研究所長)は6月28日、精神科医療の機能分化や人員配置について今後の方向性に関する意見を取りまとめた。入院患者に対してこれまでより手厚い人員配置を行っていく方向性を示し、早期退院と地域移行のさらなる推進を強く打ち出した。厚労省は取りまとめを踏まえ、必要に応じて医療法施行規則を改正したい考えだ。
検討会は早期退院・退院支援に当たって、患者の状態像や特性に応じた質の高い精神科医療の提供が必要として、患者の状態を▽3カ月未満(精神症状が活発で入院治療が必要な患者)▽3カ月−1年未満(急性期の症状はある程度改善しているが、リハビリテーションや退院後の生活環境調整などに時間を要する患者)▽重度かつ慢性(地域で生活することが非常に困難な状態にあり、長期に入院治療が必要な患者)▽重度かつ慢性を除いた現在の長期在院者―に分類。それぞれに必要な人員配置や支援体制を議論してきた。
「3カ月未満」は一般病床と同等の医師・看護職員の配置(医師16対1、看護職員3対1)とし、精神保健福祉士や作業療法士などの配置を規定することなどを盛り込んだ。「重度かつ慢性」の患者の基準については調査研究を通じて2012年中にも明確化する。
●3カ月未満の看護配置で反発/医療側構成員
最終的な取りまとめに向けた議論の中で、3カ月未満の人員配置で看護職員を一般病床と同等とすることに医療提供側の構成員が反発。山崎學構成員(日本精神科病院協会長)は「『3対1の配置を基本としつつ』にすべき」と述べ、「3カ月−1年未満」と同様、看護職員以外も含めて3対1配置にすべきとの認識を示した。精神科医療の質はチーム医療によって向上していくものであり、看護職員のみの配置では対応できないこともあるとした。(6/29MEDIFAXより)