【競争力会議】異次元の規制緩和へ「アベノミクス特区」/競争力会議で竹中氏ら
政府は4月17日の産業競争力会議で「アベノミクス戦略特区」の創設に向けて検討することを決めた。首相主導の特区とし、強力な規制改革の実行体制を敷く。新藤義孝地域活性化担当相と民間議員の竹中平蔵・テーマ別会合主査(慶應大教授)がほぼ同様の提案をした。安倍晋三首相は「既存の特区の現状を検証し、国の主体的な関与を高める方向で、これまでとは次元の違う抜本的な強化を検討したい」と発言した。今後は関係閣僚らが中心となり、対応を急ぐ方針だ。必要な法案提出も検討する。
竹中主査は会合で、全民間議員の意見を極力取り入れた提言「立地競争力の強化に向けて」を提出した。現行の特区制度をリニューアルし首相主導で推進するアベノミクス特区の導入が柱だ。首相をトップとした「特区諮問会議」を設置。さらに、「特区担当大臣」を任命し、特区ごとに?特区担当大臣?知事・市町村長?民間代表による「三者統合本部」を設置する。大臣や知事らが直接現場のニーズをくみ取り、制度改革の実験場として特区制度を再生していく狙いがある。
竹中主査が提示した資料には、医療の規制緩和なども例示されている。アベノミクス特区のうち「国際先端スーパー特区」では、外国人医師が特区内で診療行為を行える制度の導入をイメージしている。また、「医療ツーリズム特区」では、米国のメイヨークリニックを目標に据えて、国際医療拠点づくりを推進したい考え。具体的には、医療通訳資格制度の試行、病床規制の緩和、医療機器や医薬品の相互承認の推進などに取り組むことなどを想定している。
地域単位ではなく「法人単位の特区」も設け、安全性を十分に確保できる法人(企業や医療法人)に限定して実証的な取り組みも推進するとした。
アベノミクス特区の実施例として、英語対応救急車、英語対応薬剤師、緊急医療相談コールセンターの外国語対応などを列記したほか、医療法人による医療ツーリズムの実施例として「混合診療」も挙げた。
会議終了後に会見した甘利明経済再生(一体改革)担当相は「従来の特区を白紙に戻すわけではない。ただし絞り込みを図り、特区制度に国が強く関与して成果を挙げやすい体制をつくる」と述べた。
このほか、マイナンバー制度やICTを医療に応用することなども提案された。(4/18MEDIFAXより)