【競争力会議】民間議員ペーパー、成長戦略にどこまで反映
産業競争力会議が設置したテーマ別会合が議論を終え、同会議が取りまとめる「成長戦略」に向けた論点が出そろった。4月23日の産業競争力会議後の会見で甘利明経済再生(一体改革)担当相は「今後はこれまでの議論を具体的な政策にしていくための作業になる」と説明し、成長戦略の取りまとめに向けて同会議を今後5−6回程度開くことになるとの見通しを示した。医療関係ではテーマ別会合「健康長寿社会の実現」(主査=佐藤康博・みずほフィナンシャルグループ社長)が、議論を整理した資料(民間議員ペーパー)を提出している。今後は民間議員ペーパーが成長戦略にどのように盛り込まれるかが焦点となる。
健康長寿社会の実現について民間議員ペーパーでは▽国民が健やかに生活し、老いることのできる社会の構築▽医療関連産業の活性化、世界最先端の医療が受けられる社会の構築▽良質な医療へのアクセスを通じてすぐに社会復帰ができる社会に向けて▽国民の健康長寿が経済成長につながる社会▽KPI(主要業績評価指標)―の5項目に分けて意見を整理している。
安倍首相が検討する方針を示した「予防へのインセンティブ」の具体化を求めているほか、健診受診や健康増進事業に対する税額・拠出金控除など、健診が身近になる環境整備が必要と進言。医療法人がフィットネスなど健康増進事業や配食などの生活支援に円滑に参画できるよう、ガイドラインの策定も求めている。
社会保障負担の削減としては、「病院に行って治せばいい」から「経済合理的なセルフメディケーション」に個人を動かすために、医療・介護での予防へのインセンティブと自己負担の在り方を検討するよう求め、制度設計のロードマップを策定するよう提言している。
2020年までのKPIとしては▽国民の健康寿命 を1歳以上延伸▽メタボ人口を現状比25%減▽特定健診を含む健診受診率80%―も挙げた。このほか、医療関連情報の電子化・共有化の推進や、介護産業での労働力不足への対策など多岐にわたる。
●時間軸と具体的なアクション示す
23日の産業競争力会議後の記者会見で日本経済再生総合事務局の田中茂明内閣官房参事官は、健康長寿社会の実現などの主要課題について「2030年ごろを視野に、望むべき社会像を規定し、そこから逆算して必要な課題を解きほぐし、必要な規制緩和や市場創出の手法を示す」と述べた。「時間軸と、いつどういうイメージのことをアクションとしてやっていくかが必要」との認識も示した。
安倍晋三首相は26日に閣僚懇談会で、6月中旬に予定されているG8(主要国首脳会議)までに成長戦略を策定するよう指示しており、今後は、総合科学技術会議や規制改革会議など、他の関係会議での議論を成長戦略に反映させることなども含め、急ピッチで議論が進んでいく。(5/7MEDIFAXより)