【私のすすめるBOOK】『認知症を生きる人たちから見た地域包括ケア』  PDF

【私のすすめるBOOK】『認知症を生きる人たちから見た地域包括ケア』

京都発の認知症ケア提言
認知症になっても地域の中で

認知症を生きる人たちから見た地域包括ケア
「京都式認知症ケアを考えるつどい」実行委員会編著、クリエイツかもがわ、定価1,800円+税

 『地域包括ケア研究会報告書』への洛南病院・森俊夫先生の強い危機感に発し、京都地域包括ケア推進機構が立ち上げられ、急速に取り組みが動き出した『京都式地域包括ケア』に、介護保険創設期のように認知症の方への対応が取り残されはしないかとの関係者の思いが重なり合い、この流れが始まった。「1000人集まれば京都が変わる!」という掛け声が、京都で認知症の医療やケアに係わる人々に行われ、激流となった。そして、多くの団体の参加を得て、たった数カ月の準備期間の後、2012年2月12日、同志社大学寒梅館に1000人の人が集まり、「京都式認知症ケアを考えるつどい」が開催されるに至った。そこで『2012京都文書』が採択され、そこから『京都式認知症ケアの定義十箇条』も生まれた。

 その後、6月に厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチームが出した「今後の認知症施策の方向性について」も、これまでの認知症の人に対する対応の反省から始まり、「不適切なケアの流れを変える」ことを目標としている。

 機を一にして京都と国から同じような方向を向いた提言がなされ、欧米各国でも認知症への国家戦略が示されており、認知症への対応の大きな流れが始まったことになるだろう。これは、京都地域包括ケア推進機構の「認知症総合対策推進プロジェクト事前準備会」に大きな影響を与えている。

 この本は、これからの京都での認知症対策の出発点となった「京都式認知症ケアを考えるつどい」の全記録と、『2012京都文書』『京都式認知症ケアの定義十箇条』やデルファイ法による調査・分析、つどいの前に関係者だけの参加で行われたプレセミナーの記録も含めて一冊にまとめられたものである。

 当日参加いただけなかった医療介護の多くの関係者の方にお読みいただきたい。
(西京・塚本忠司)

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