【社会保障】25年度までに医療・介護費5兆円抑制/厚労省、健康寿命の延伸で  PDF

【社会保障】25年度までに医療・介護費5兆円抑制/厚労 省、健康寿命の延伸で

 田村憲久厚生労働相は8月30日、政府の日本再興戦略や健康・医療戦略などを踏まえ2025年度に向けて予防・健康管理に関する取り組みを推進することで、医療費・介護費を5兆円規模で抑制できるとの試算を発表した。田村厚労相は「国民の健康寿命が延伸する社会」を目指すとし、「決して医療費・介護費の削減が一番の目的ではない。患者・国民は重症化を予防でき、医療機関は医療資源を有効活用でき、国も財源が削減できる。三方それぞれハッピーになる。わが省として13年が『予防元年』という意気込みでやっていく」と述べた。田村厚労相を本部長とする「健康づくり推進本部」を設置し、省内横断的な体制を構築していく。

 高齢者への介護予防では「地域単位での介護・医療情報の『見える化』推進」を掲げた。要介護認定率の伸びが全国平均よりも低い自治体の取り組みを全国展開・拡大させることで約6000億円の抑制効果を見込む。高齢者の肺炎予防に向けては、誤嚥性肺炎を防ぐ口腔ケアの実施で約1000億円、肺炎球菌ワクチンの接種で約6000億円の削減効果があると推計した。

 現役世代の健康づくりでは、レセプトや健診情報などのデータを最大限活用した「データヘルス」を推進し、全ての被用者保険の保険者が保健事業を実施した場合の効果額を約3000億円と想定した。特定健診・特定保健指導では、メタボリックシンドロームの減少で約4000億円、糖尿病の増加抑制で1兆9000億円の抑制を見込む。禁煙の推進では、22年度に成人喫煙率を12%にする「健康日本21」の目標を達成し、25年度まで維持できれば約3000億円の効果があると見ている。

 医療資源の有効活用では、後発医薬品の使用促進のためのロードマップの目標(17年度に数量シェア60%以上)を達成し、25年度まで維持した場合に約1兆円の効果があるとした。ICTの活用による重複受診・重複検査などの防止でも約1000億円を見込む。

 田村厚労相は5兆円という目標額について「分かりやすく大胆な定量的目標として掲げた」とし、現在のところ削減額を何らかの政策に転用する意図はないとしている。(9/2MEDIFAXより)

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