【社会保障】紹介なし定額負担、議論は14年4月以降/15年の法案提出目指す  PDF

【社会保障】紹介なし定額負担、議論は14年4月以降/ 15年の法案提出目指す

 厚生労働省は、社会保障制度改革国民会議の報告書に盛り込まれた「紹介状を持たない患者が大病院を外来受診した際に一定の定額負担を求める仕組み」について2014年4月以降、社会保障審議会・医療保険部会で具体策の検討に乗り出す。15年の通常国会に法案を提出できるよう結論を出す。定額負担の金額、対象となる病院の規模、初診料や外来診療料(200床以上病院の再診)を保険給付から外すかどうかなどが議題になる見込みだ。

 国民会議の報告書では、医療機関の役割分担を図るため「緩やかなゲートキーパー機能」の導入が打ち出された。大病院の外来は紹介患者中心とし、一般的な外来受診はかかりつけ医に相談することを基本とするシステムを定着させる。その実現に向けて提案されたのが、紹介状を持たない患者が大病院を受診した際に、一定の自己負担を公定価格として求める制度。現在の選定療養を大きく推し進める内容といえる。

 財源論から浮上したかつての「受診時定額負担」とは異なり、医療提供側からも求められている「外来の機能分化」を目的とする同制度の具体化に向け、主な論点に浮上するのは▽自己負担額▽大病院の病床規模▽初・再診の保険給付の取り扱い―だ。

 自己負担の金額は、国民会議の議論では「例えば1万円」と示されていたが、あくまで例示であり現状では決まっていない。医療機関の役割分担実現に適した金額を議論していくことになる。

 病床規模については、現在の選定療養が200床以上の病院を対象にしていることと、12年度診療報酬改定で、前年度の紹介率が40%未満で逆紹介率が30%未満の▽特定機能病院▽500床以上の地域医療支援病院─を対象に、紹介状なし患者の初診料を270点から200点に減額する措置を取ったことが参考になる。大学病院などを対象にする発想で500床以上とするのか、選定療養と同様の200床以上で導入するのかなどを軸に議論される見込み。200−500床の間の病床数で区切ることもあり得る。

 初診料や外来診療料の取り扱いも議論になる。現行の選定療養の枠組みでは、患者から特別料金を徴収するかどうかの判断は医療機関に任されており、初診料の点数を下げる12年度改定のような方法では「むしろ患者は自己負担が下がり病院に来やすくなる。診療報酬の対応ではこうしたジレンマがある」(保険局)。今後は初診料と外来診療料の双方、あるいは初診料のみを保険給付せず、その分を患者から徴収する定額負担金で賄う議論も行われそうだが、どのような結論になっても、検討開始が14年4月以降のため14年度改定の案件にはならない。(9/6MEDIFAXより)

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