【社会保障】次期改定へ一体改革部分を中間整理/医療保険部会
厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)は8月9日午前、2014年度診療報酬改定の基本方針策定に向け、社会保障・税一体改革関連部分の中間整理をした。同日午後の医療部会の意見も反映し、次期改定における一体改革関連の基本的考えをまとめる。
事務局の保険局医療課は会合に、医療保険部会と医療部会でのこれまでの議論を整理した「次期診療報酬改定における一体改革関連の基本的な考え方(案)」を示した。「基本認識」と「次期改定の一体改革関連の基本的考え方」に分かれている。
基本認識では次期改定について、前回改定に引き続き「入院医療・外来医療を含めた医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組む必要がある」と明記した。分化や連携は「病床機能報告制度とできる限り整合性が図られるよう」検討すべきと記載。「地域完結型」の医療提供を促進する評価が必要なことも打ち出した。
基本的な考え方は「入院医療」「外来医療」「在宅医療」「医療機関の連携や医療・介護のネットワーク」(NW)別に示した。入院では、急性期病床や亜急性期病床の機能明確化や、有床診療所の評価の検討を記載。外来では、かかりつけ医機能の評価や、大病院の紹介外来をさらに推進する方策の検討を示し、在宅ではかかりつけ医を中心にした在宅医療提供体制の構築の重要性に言及。連携・NWの部分では、地域ごとに地域完結型の医療NWを構築する必要があるとした。宇都宮啓医療課長は「両部会の考え方でできた中間整理を、政府・与党が議論する際の説明に使いたい」とした。
●「地域完結型医療」の定義とは
議論では、政府の社会保障制度改革国民会議の報告書でも打ち出されている「地域完結型」医療について、定義の不明確さを指摘する意見が出た。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「何を意味しているのかはっきりしない。場合によっては地域の医療機関を一体的に評価することを含むのか。あるいは医療と介護の一体化の意味か」と質問し、趣旨が曖昧なまま議論が進むことに懸念を表明。樋口恵子委員(高齢社会をよくする女性の会理事長)も「地域完結型という言葉のイメージを知りたい」と求めた。
宇都宮医療課長は「地域包括ケアのイメージと近いと思うが、診療報酬でどうするかは今後の議論」と回答。国民会議の会長代理を務めた遠藤部会長は「国民会議でも、地域完結型の具体的な意味については細かく議論をしていない」と答えた。(8/12MEDIFAXより)