【社会保障】急変患者はまず「急性期病床」で/医療部会 で日医・中川副会長
日本医師会の中川俊男副会長は8月9日、委員として出席した社会保障審議会・医療部会で、病床機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4分類とする日医と四病院団体協議会の合同提案について説明した。
合同提案のポイントとしては▽厚労省の分類案のように「主として」との表現を使っていない。例えば6割が急性期病床で4割が回復期病床の場合、主として担う機能となると、急性期病床の情報しか得られない。報告は「急性期病床6割・回復期病床4割」との表現でする▽急性期病床には、在宅や介護施設等の患者の急性憎悪(サブアキュート)や2次救急を包含する▽回復期病床は、急性期経過後も引き続き入院医療が必要な患者に医療を提供するポストアキュートの機能を持つ―などを挙げた。
在宅や介護施設の患者の急性憎悪への対応は、日医・四病協の合同提案では「急性期」に、中医協・入院分科会の中間まとめでは新たに創設を目指す「亜急性期病棟」となっている。中川委員は「高齢者が急性増悪した時に急性期病床に入らず、最初から亜急性期病床で受けるようなケースが出てくるのではないか」と述べ、亜急性期病棟の提案に反対の意向を示した。
中川委員は、合同提案の中で示した「かかりつけ医」の定義や機能についても説明。「報告制度をしっかり構築し、都道府県で分析し、地域に応じた医療提供体制を構築してほしい」と述べた。
●救急医療は厳しく亜急性期で/健保連・高智理事
こうした説明に対し健保連理事の高智英太郎委員は「現状の厳しい状況の中で高齢化に伴い急変する患者が増えていくことを考えれば、救急医療体制は厳しく、亜急性期病床で受けることはむしろ必要ではないか」と質問した。中川委員は「われわれは急変した患者を、救命救急センターで診るべきと言っているわけではない。急性期病床で診て、その結果として急性期以外でよい、ということであれば、次の施設ということになる」とし、地域のさまざまな状況に対応した医療提供体制を検討していくことが必要とした。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子委員は患者の立場から、日医・四病協の合同提案に一定の評価をした上で「かかりつけ医の定義は理想的だが『やっています』『目指します』では安心できない。患者が選ぶ際の指標などを考えての提案なのか」と質問。中川委員は、かかりつけ医は日医の生涯教育システムで最新の医療情報を身に付けながら適切な医療を提供しており、広報機能を充実させていきたいとした。(8/12MEDIFAXより)