【社会保障】在宅医療推進で市町村の役割明確化を/厚労省、医療部会で論点  PDF

【社会保障】在宅医療推進で市町村の役割明確化を/厚労省、医療部会で論点

 厚生労働省は9月13日、第6次医療法改正で「在宅医療の推進」を図るための3つの論点案を社会保障審議会・医療部会(部会長=永井良三・自治医科大学長)に提案した。市町村が果たす役割を医療計画の中で明確化するなどの論点に反対意見はなかったが、全国町村会は十分な議論と丁寧な制度設計を求めた。

 厚労省が提示した論点は▽在宅医療、地域包括ケアや介護サービスの観点から、医療計画の中での市町村の役割を明確に位置付ける▽市町村の介護保険事業計画に記載された目標を達成できるよう、医療計画・地域医療ビジョンでも在宅医療の必要量等の推計や、目標達成のための施策の推進体制を確保していくべき▽在宅医療連携拠点事業で蓄積された知見、ノウハウを整理し情報提供する─の3点。

 全国町村会の遠藤直幸委員(山形県山辺町長)は「在宅医療を医療・介護の両面から制度化していこうというのは理解できるが、市町村がどういう役割をどう果たしていけばよいのかイメージしにくい。小規模な市町村で(在宅医療の)担い手が確保されるのか、行政が円滑に実施できるのかなど実施体制の整備が大きな課題と認識している」とし、「市町村が一定の役割を担うのであれば、人材確保の方策などで詳細な検討を行い、丁寧な制度設計をお願いしたい」と述べた。

 全日本病院協会長の西澤寛俊委員は、在宅医療・介護連携拠点の機能を介護保険法で制度化してはどうかとの意見が社保審・介護保険部会で出ていることに言及し「在宅医療を医療提供側が主体的に責任を持って行うとすると、どういう形が望ましいのか。在宅医療・介護連携拠点について介護保険法でよいのかなど、医療部会できちんと議論してもらいたい」と求めた。

●在宅関連事業の全体像を/日医・今村副会長ら
 一方、日本医師会副会長の今村聡委員は「在宅医療連携拠点事業は在宅医療に熱心な地域や医師会による手挙げで行われているが、全国的に行われていくべきと考えている」とした上で、「在宅医療について行政はさまざまな事業を行う。仕組みが少しずつ異なるが、シンプルな枠組みにして、小児や高齢者に対する在宅医療を同じ枠組みの中で設計できるようにすればよいのではないか」とした。

 日本看護協会副会長の菊池令子委員も「訪問看護は医療保険と介護保険にまたがっている。在宅医療の必要量については全体を見て設計してもらいたい」とし、医政局や老健局が実施している事業が全体としてどうなっているのか、在宅介護連携の全容を示してほしいと指摘した。

 日本歯科医師会副会長の和田明人委員は「歯科と医療の区分けをしているが、在宅医療全体の中で歯科、医療を総合的に見ていくべきだ」と求めた。(9/17MEDIFAXより)

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