【社会保障】国民会議報告書の法制化へロードマップ/医療保険部会で厚労省
厚生労働省は9月9日、社会保障制度改革国民会議の報告書を受け「法制上の措置」の骨子が閣議決定されたことを踏まえ、今後の法制化に向けた検討スケジュールを整理し、社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)に提示した。委員からは高齢者医療の費用負担や全面総報酬割の議論など、医療保険部会としての十分な議論を求める意見が上がった。
2013年末までに取りまとめて14年度の見直しを目指すものとしては▽高額療養費の見直し(14年度をめどに政令改正)▽国保・後期高齢者医療の低所得者保険料負担軽減措置、国保の保険料賦課限度額引き上げ(14年度税制改正、予算措置、政令改正)▽診療報酬改定の基本方針(14年度改定)─を挙げた。
さらに、15年の通常国会への法案提出を目指し14年4月から議論を開始するものとして▽医療提供施設相互間の機能の分担や在宅療養との公平性の観点からの外来・入院に関する給付の見直し▽所得水準の高い国保組合への国庫補助の見直し▽被用者保険の標準報酬月額の引き上げ─を提示した。これらと併せて▽後期高齢者支援金の全面総報酬割▽協会けんぽの国庫補助率や高齢者医療の費用負担の在り方▽国保の財政支援の拡充、保険者、運営等の在り方─も検討するとした。
小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「全面総報酬割の導入に伴う公費財源を国保の財政基盤強化のために用いるのは筋違いであり、そのような考えには反対だ」と指摘。「国保の財政支援の拡充などは国保関係者だけの問題ではなく、われわれ被用者保険をはじめ多くの関係者の利害に直結する問題だ。具体的な協議の場は世の中に見える形で進めるべきだ」とも述べ、検討内容を随時、医療保険部会に報告し、問題を共有化できるようにすべきとした。厚労省は「地方団体と十分協議しながら具体的な改革案を固めていきたい。医療保険部会の意見を聞きながら協議していく」と回答した。
白川修二委員(健保連専務理事)は「高齢者医療の費用負担の在り方に関する検討は最大の鍵。14年度の検討項目だが、なるべく早く検討を進めてもらいたい」と要望。「被用者保険の財政基盤の安定化に向けては、高齢者医療制度の財政構造をどうするかということが最大の鍵」とも説明した。
● 診療報酬改定の基本方針は12月
一方、診療報酬改定の基本方針は12月にまとめる。先行して検討してきた「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的考え方について」は、「亜急性期について」としていた項目を「回復期(診療報酬上の亜急性期入院医療管理料等)について」に変更するなどした最終版を提示した。今後議論する診療報酬改定の重点課題などと併せて改定の基本方針となる見通しだ。(9/10MEDIFAXより)