【知事会】国保の公費負担拡大や医師確保を要望/全国知事会
全国知事会は8月1日、2013年度の国の社会保障施策や予算に対して7月20日の全国知事会議で取りまとめた要望書を厚生労働省に提出した。医師・看護師など医療従事者の確保対策の推進や国保への公費負担拡大などを盛り込んだ要望で、福田富一・社会保障常任委員会委員長(栃木県知事)が辻泰弘厚生労働副大臣に要請した。後期高齢者医療制度については必要な改善を加えた上で安定的運営を求めるとともに、7月19日の全国知事会で決議した「地方の意見を踏まえない見直しは断じて認めることはできない」とする決議文も提出した。
国の保健医療対策への主な要望は▽医師偏在・不足の改善に向け、必要医師数を明らかにした上で医師養成の在り方を早急に見直す▽病院勤務医の処遇改善・負担軽減と医師・看護師など医療従事者確保対策の強力な推進▽自治体病院への支援▽国保に対する国の定率負担の引き上げや後期高齢者医療制度の安定運営▽医療保険制度の全国レベルでの一元化に向けた具体的道筋の提示―など。
医療保険制度の在り方に対する決議文では、民主党が5月にまとめた後期高齢者医療制度の廃止を含む高齢者医療制度の見直し案に対し、11年度の「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と他方の協議」の合意事項を無視した地方軽視の案だとして、従来通り反対姿勢を示した。国保については国の定率負担の引き上げによる公費負担拡大を求めた。
●計画停電で緊急提言、診療報酬で加算も
一方で全国知事会は8月2日、この夏に北海道・関西・四国・九州で計画停電が実施された場合に備えて緊急提言をまとめ、医療機関や社会福祉施設、在宅療養者に配慮するよう国に求めた。
提言は全国知事会議が7月20日にまとめ、8月2日に枝野幸男経済産業相と古川元久国家戦略担当相に提出した。人工呼吸器や人工透析などは利用者の生命に危険が及ぶ可能性があることから、計画停電が実施される場合のグループ分けやスケジュールなどの情報について、国や電力会社が住民へ周知を図るよう求めた。停電時間の短縮も要望した。
国は救急医療機関や周産期母子医療センター、災害拠点病院などには計画停電時も電力を供給するよう緩和措置を設けた。これに対して全国知事会は、緩和対象とならない医療機関の入院患者や社会福祉施設の入所者、在宅療養者などの安全に配慮するため、▽自家発電装置の整備▽医療機器の非常用電源の確保▽緊急時の職員見回り体制の確保―に向けた補助制度の創設・拡充や診療報酬・介護報酬の加算などによる措置を求めた。(8/6MEDIFAXより)