【皆保険】皆保険維持に「保険適用の選別必要」/内閣官房参事官・藤本氏  PDF

【皆保険】皆保険維持に「保険適用の選別必要」/内閣官房参事官・藤本氏

 内閣官房医療イノベーション推進室参事官で前経済産業省ヘルスケア産業課長の藤本康二氏は2月3日、東京都内で開かれたフォーラムで講演し、国民皆保険を今後守っていくためにも、社会全体のニーズに応えていきながら、保険適用するサービスの選
別を検討する必要があると指摘した。その際、「全国一律には判断できないニーズをどうやってシステムの中に取り込んでいくかが重要」との考えを示した。同フォーラムは「駐在型訪問看護ステーション構想」をテーマに地域ケア総合研究所が開催した。

 藤本氏は講演で、経産省の視点から医療や介護をどのように考えているか説明したいと前置きした上で「需要はあっても、社会で一定のサービスしか供給されなければ、お金に困っているわけでもなく支払う意思もある人たちとの結び付きがなくなってしまう」と述べ、こうした事態は「経産省としてはもったいないと考える」と説明した。その上で「全体の需要にどう応えるかが非常に重要」との見方を示しながら、「世界に冠たる国民皆保険を守るため」にも「あるサービスは保険に入り、また、そうでないものもあるということを、きちんとやっていく必要がある」と述べた。

 少子高齢化した人口減少社会で求められるサービスには「慢性期医療や介護、看取り」が挙げられるとし、経産省では「自分が死んでいくまでを徹底的にサポートしてくれる『ライフエンディング産業』などについて議論していた」ことを明かした。ただ、新しい提案は社会がこれまでに確立してきたシステムの一部を変更することにもつながると指摘。「全体のバランスが崩れてしまう可能性があり、十分配慮して議論する必要がある」と述べた。

●訪看STは「健康交番」
 訪問看護ステーション(訪看ST)については「多機能化やいろいろ需要を取り込む『健康交番』のような形で、疾病の予防や管理、看取りを担う役割が想定できる」との期待を表明。さらに、訪看STを中心に地域ごとの多様な結び付きを構築し、一定のルールに基づいて「さまざまなニーズに応じていくべき」との考えを示した。東日本大震災の被災地特例として岩手、宮城、福島の3県で開設が認められている訪看STの1人事業所にも言及し、「始めた方々がトライアル(の気持ち)でやってほしい」とエールを送る一方、社会から一定の評価を得ることがポイントになると指摘した。(2/5MEDIFAXより)

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