【産科補償】補償金と賠償金の調整、開始基準を具体化へ/産科補償運営委
日本医療機能評価機構の産科医療補償制度運営委員会(委員長=小林廉毅・東京大大学院教授)は12月11日、同制度が支払う補償金と分娩機関側が保険会社などを通じて支払う損害賠償金について、同機構が主体的に調整を開始する際の基準を具体化することを決めた。現在は同制度の原因分析で「重大な過失が明らか」と判断された場合、裁判の結果などを待たずに機構側が主体的に調整を開始できる仕組みとなっている。ただ、補償金と賠償金の調整開始は、分娩機関側の損害賠償責任の可能性を指摘することになるため、訴訟を誘発することも予測される。委員からは「重大な過失」との文言の解釈があいまいとの指摘が上がり、より具体的な文言とすることになった。
現在の産科医療補償制度では、同制度の原因分析委員会が医学的観点から「重大な過失が明らかと思料される」と判断した後に、法的な観点から同制度の調整委員会が「重大な過失が明らか」と判断した場合は、裁判などの結果を待たずに同機構側が主体的に支払い調整を開始する仕組みとなっている。ただ、これまで同機構が主体的に調整を開始したケースはない。
同運営委員会は、産科医療補償制度の見直しについて議論しており、2014年1月からは、原因分析の在り方や、補償金と損害賠償金の調整の在り方などを刷新した制度を先行してスタートさせる。補償対象範囲や補償水準、掛け金の水準、剰余金の使途などは、同制度の補償対象者数推計値などのデータに基づき、15年1月から刷新する予定。(12/12MEDIFAXより)