【産科補償】産科補償の対象、周産期全体へ拡大を/運営委  PDF

【産科補償】産科補償の対象、周産期全体へ拡大を/運営委

 日本医療機能評価機構の「産科医療補償制度運営委員会」(委員長=小林廉毅・東京大大学院教授)は11月1日、2014年1月から産科医療補償制度を刷新するため引き続き議論した。委員からは、補償対象を周産期医療全体に広げるための見直しが必要との意見が上がった。

 脳性麻痺の発症を補償する同制度では、出生時の新生児仮死の治療などNICUでの新生児管理は制度の対象外としている。NICUでの診療行為は、脳性麻痺の発症原因を分析するために情報提供は求めるものの、医学的評価はしない仕組みになっている。

 勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「周産期全体に補償を広げていく形できちんと対応していくことが大事」と述べ、NICUでの診療行為にも医学的評価が必要との考えを示した。

 小林委員長も対象拡大の方向性に理解を示した。その上で、現行制度は分娩機関の加入によって運営しているため、対象を拡大する場合は、産科のない一部の小児専門医療機関の取り扱いが課題になると指摘した。

 周産期医療全体を補償対象とした場合、新生児搬送を受け入れた医療機関での診療行為も評価対象とする必要がある。岡井崇委員長代理(日本産科婦人科学会副理事長)は「医療機関への負担やマンパワーなどを考えると、新生児医療を調べるために委員を倍くらいにしなければならないが、新生児医療の専門家は少なく、集まるかは疑問」と述べた。

●訴権は制限すべきでない
 会合では、現行制度で補償金をもらった場合でも原因分析結果などを見て訴訟を起こすことが可能となっている「訴権」についても議論した。委員からは、現行制度を維持すべきとの意見が複数上がり、反対意見は出なかった。(11/2MEDIFAXより)

ページの先頭へ