【産業競争力】医療法人は株式会社で事業拡大を/産業競争力会議で民間議員  PDF

【産業競争力】医療法人は株式会社で事業拡大を/産業競争力会議で民間議員

 政府は3月22日、産業競争力会議(議長=安倍晋三首相)の下部組織に当たる「テーマ別会合」を開き、医療分野を含む「健康長寿社会の実現」について議論した。会合では民間議員が、国民が健やかに生活し老いていける社会を実現しつつ、同時に国を富ませる方策を「民間議員ペーパー」にまとめて提出。これを基に5人の民間議員と関係閣僚で意見を交わした。意見交換の中では、医療法人が株式会社を設置して事業を拡大できるようにすべきではないかとの発言もあった。意見書の内容や、発言者の氏名、配布された資料などは公開されていない。会合後、内閣官房日本経済再生総合事務局の田中茂明内閣参事官が審議内容を説明した。

 田中参事官によると、疾病予防や早期治療を推進する観点から、保険者に対して後期高齢者支援金の加減算措置を拡大できないかという意見が出された。また、再生医療や医療機器の開発促進策、基礎研究への投資拡大や研究実績を実用化・商業化に結び付けるための橋渡し研究の拡充、医薬品・医療機器の承認審査体制強化策などが指摘された。省庁の垣根を越えて予算と権限を集中し、国全体で臨床研究を推進する際の司令塔機能を担う、いわゆる“日本版NIH”の必要性を求める意見が相次ぎ、閣僚からも肯定的な発言が出たという。

 医療・介護分野では、高齢者向けサービスのアクセス改善を求めた。高齢者向け賃貸住宅の整備や、特別養護老人ホームの待機問題解消策なども提言された。また、健康商品の購入者に「ヘルスケアポイント」を付与して、将来的に介護保険制度の受給権につなげる仕組みを導入してはどうかという意見もあったようだ。

 産業競争力会議では、民間投資を呼び込むための成長戦略を練っている。首相が議長を務めているが、日程的な制約が大きいため、下部組織としてテーマ別に審議できる場をつくった。テーマ別会合では民間議員ペーパーを踏まえて民間議員と閣僚級が意見を交わす。テーマ別会合は7分野あり、最終的には親会議に当たる産業競争力会議で結論を得て、政府の成長戦略に反映させる方針だ。

 会議の出席者は次の通り。【閣僚】▽甘利明経済再生(一体改革)担当相▽菅義偉内閣官房長官▽田村憲久厚生労働相▽茂木敏充経済産業相▽下村博文文部科学相【民間議員】▽主査・佐藤康博(みずほフィナンシャルグループ社長)▽副主査・新浪剛史(ローソン社長)▽岡素之(住友商事相談役)▽長谷川閑史(武田薬品工業社長)▽橋本和仁(東京大大学院工学系研究科教授)(3/25MEDIFAXより)

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