【産業競争】年末めどに検討課題整理へ/産業競争力会議・分科会
産業競争力会議の医療・介護等分科会は、年末をめどに中間整理を行い、今後の検討課題を絞り込む方針だ。保険外併用療養費制度の大幅な拡大を含む「保険給付対象範囲の整理・検討」など中長期的な課題に加え、6月に閣議決定した日本再興戦略(成長戦略)の取り組みを深めることもテーマに挙がっている。分科会は、現場の実務者や有識者からのヒアリングも行いながら、医療・介護分野を成長市場に変えていくための方策を検討するという。
分科会は9月27日、1回目の会合を開き、事務局が9月2日の産業競争力会議(本会議)で配布された資料を基に、中長期的な課題として検討項目を提示した。例示したのは▽保険給付対象範囲の整理・検討▽病床の機能分化、医療法人・社会福祉法人の合併・再編などを含む「効率的で質の高いサービス提供体制確立」▽レセプト情報を活用した予防医療や医療費適正化、医療情報連携ネットワークの全国への普及・展開など「医療・介護のICT化」▽医療の国際展開など「公的保険外のサービス産業の活性化」―の4つ。
また、日本再興戦略に盛り込まれた施策の進展も確認した。保険外併用療養費制度の拡大をめぐっては委員から「抗がん剤は進んでいるようだが、今後の具体的な工程表やスケジュール感を議論していきたい」「(代替治療のない患者に例外的に未承認薬を提供する)コンパッショネートユース制度なども検討すべき」との声が上がった。
新分野への事業進出が現行の規制に抵触するのかどうか不明確な「グレーゾーン」を解消するための仕組みづくりについては、「(産業界や医療機関などが参加し年内をめどに設置される)次世代ヘルスケア産業協議会が、受け身ではなく積極的にグレーゾーンを探し、グレーゾーンを解消していくようにすべき」「医療機関以外の事業者が健康分野に参入したり、医療機関が医療以外の分野に参入するためには、医療機関以外がどのようなことをできるのか明確にすることが重要。次世代ヘルスケア産業協議会では、医療機関が保有するデータの活用、自治体や保険者による予防への取り組みのインセンティブ付与、ネットワーク形成を検討していくべき」といった意見が出た。
また、一般用医薬品のインターネット販売解禁をめぐり、委員が「スイッチ化した品目は3年間3000件の安全性評価を行うことになっているが、この基準を短縮化できないか」と発言。厚生労働省は「どんなことができるか考えていきたい」と応じたという。
●国家戦略特区WG、議論明らかにせず
9月27日は産業競争力会議の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)も会合を開き、特区内で実現させたい規制改革テーマについて議論した。9月20日に産業競争力会議の課題別会合で話題に上ったテーマを踏まえ、委員と担当省庁が意見を交わした。
医療分野では▽国際医療拠点における外国医師の診察、外国看護師の業務解禁▽病床規制の特例による病床の新設・増床の容認▽保険外併用療養の拡充▽医学部の新設に関する検討―の4項目について議論したが、会合後の記者会見で事務局は、WGの意向を理由に会合でのやり取りの内容を明らかにしなかった。(9/30MEDIFAXより)