【生活保護】医療扶助適正化で新システム、12年秋にも/厚労省  PDF

【生活保護】医療扶助適正化で新システム、12年秋にも/厚労省

 厚生労働省社会・援護局は、2011年度から全国稼働している「生活保護等版レセプト管理システム」について、12年秋ごろを目指してソフトウエアの改修を行い、指導対象となり得る生活保護の受給者や指定医療機関の抽出機能を強化する。

 同システムは電子レセプトを活用して生活保護受給者のレセプトを効率的に抽出・点検し、医療扶助の適正化を図る取り組みの一つ。

 現在開発中の新システムでは▽複数月にわたる頻回受診の点検(縦覧点検)▽重複請求の点検(重複点検)▽レセプト有効性の点検(資格点検)─の各点検機能の強化を図る。例えば「月15日以上受診している受給者」と「月15日以上の受診が3月以上続いている受給者」といった複数条件で、指導対象となる可能性が高い受給者を抽出できるようになるため、自治体では指導対象を絞り込めやすくなる。

 過去に社会問題化した向精神薬の転売についても、新システでは複数医療機関で重複処方を受けている受給者を容易に抽出できるようになるため、速やかな対応が可能になる。

 さらに、統計・分析機能を強化することで「生活保護受給者に関する1件当たりの請求金額が高い医療機関」「訪問診療など特定の診療行為が多い医療機関」といった生活保護の請求が他の医療機関に比べて突出している医療機関の抽出も容易になるという。

 社会・援護局では医療扶助適正化に向けて、同システムで抽出された医療機関については、重点的にレセプトの内容を個別に審査し、請求内容に問題があると疑われる医療機関には重点指導を行うとしている。指導対象となり得る医療機関の選定基準策定や効果的・効率的指導も推進する考え。

 新システムの導入とそれに伴う医療機関への指導や向精神薬の適正受診の徹底により、年間18億円の医療扶助費の適正化を見込む。また、12年度から新規補助事業として福祉事務所への配置を助成する「医療扶助相談・指導員」の助言・指導とともに、ジェネリック医薬品の使用を促進することで年間106億円の医療扶助費の適正化を見込んでいる。(6/12MEDIFAXより)

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