【理事提言】本当の復興とは/東日本大震災後の1年7カ月  PDF

【理事提言】本当の復興とは

東日本大震災後の1年7カ月

草田英嗣理事

保険部会・草田英嗣

 2011年3月11日の東日本大震災とそれに伴う原発事故から、1年7カ月が経過しました。4基の原発が同時に破壊された史上最大の大惨事でした。炉心溶融が起こっていたにもかかわらず、東京電力と政府とによって、多くの大切な情報がひた隠しにされてきました。多くの御用学者たちもそれに加担し、国民を欺き、善良な多くの国民を被曝させました。

 ヨウ素やセシウムはしばしば目にしますが、ストロンチウムやテルル、プルトニウムなど多くの核種はめったに表に出てきません。見るも無残な事故現場も、覆いで隠されて直接は目に入ってこなくなりました。政府は「冷温停止状態」とはいうものの、今も極めて高い放射線が事故現場では放出されていて、とても近づける状態ではありません。たえず流れ込む地下水が汚染され、タンクに貯めていてももう限界が近づいてきています。また何か理由を付けて海へ放出するのでしょうか。

 1954年の南太平洋(ビキニ)の水爆実験など、繰り返されてきた実験で地球全体の放射能は上昇しています。今は日本が振りまいています。1986年のチェルノブイリ4号炉原発事故後も子どもたちの免疫機能の低下や貧血などがいろいろ報告されていて、事故現場を大きなドームで覆うというような話も聞きます。26年たった今も、何も解決できていなくて近づけない状態のままとなっています。

 福島原発事故による警戒区域や計画的避難区域等の人たちばかりではなく、放射線の影響を直接受ける可能性のある人たちは、もう元には戻れないのではないかと思います。あるいはまた許容範囲を大幅に引き上げて、安全として住民たちを戻していくのでしょうか。震災後、全国に散らばって不自由な生活を強いられている人たちには、何の責任もありません。東京電力や原発政策をすすめてきた政府はもっと責任を持たねばなりません。被災者への住宅の提供や医療費負担をもっとすすめていかなければなりませんが、直後の医療費免除や窓口一部負担金の免除などは日を追うごとに条件が厳しくなり、対象から外されるものが多くなり、まだ1年7カ月しかたっていないのに、すでに先細りの状態です。免除証明書の効果もいつまで持つかは不透明です。

 大震災からの復興とは、建物やインフラばかりではなく、人間としての生活・精神面を含めたすべての復興ができてこそ復興と呼べるものであることと認識すべきです。

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