【特養不足】都市部の特養不足解消へ、高齢者の地方移住促進/政府
都市部で要介護高齢者が増加し、特別養護老人ホームなどの介護施設が不足する事態の解消に向け、政府が動き出した。10月9日、内閣府や厚生労働省の関係者、都市・地方政策や介護問題に関する有識者が参加する「高齢者居住を中心とした自治体間連携に関する調査」研究班が初会合を開いた。都市部の高齢者が地方へ移住しやすい環境を整備し、都市部の高齢者問題解消を目指す。地方での介護雇用の創出など地方経済の活性化も見込んでいる。
都市部での介護施設・ケア住宅の不足解消は、政府の日本再生戦略にも盛り込まれている。研究班では、高齢者の地方移住を促進・阻害する要因や、都市部と地方の自治体が連携する方法について検討する。
研究班が想定する自治体間連携のイメージによると、都市部自治体の役割は▽地方に高齢者施設を整備する費用を出す▽都市部から地方へ入居した高齢者の介護・医療費を支出する▽移住した高齢者だけでなく、地域住民も利用可能な遠隔医療サービスを提供する―など。一方、地方の自治体の役割は▽都市部からの高齢者に就労の場を提供する▽移住した高齢者を巻き込んだコミュニティーをつくる―など。
全都道府県と全市町村を対象にしたアンケート調査を10月から実施し、各自治体が抱える高齢者向け介護施設整備の課題や、他自治体から中高年層を受け入れるニーズがあるかどうかを把握する。東京都の杉並区と静岡県の南伊豆町で自治体間連携のモデル事業も実施し、報告を基に課題を洗い出す。
研究班会議の座長には経済評論家の川本明氏が就任。委員には東京大名誉教授の大森彌氏も名を連ねた。オブザーバーとして▽内閣府の山崎史郎政策統括官▽内閣府の原口剛政策統括官▽厚労省保険局の大島一博保険課長▽厚労省社会・援護局総務課の荒川英雄課長補佐▽厚労省老健局総務課の篠田浩課長補佐▽厚労省老健局高齢者支援課の懸上忠寿課長補佐―らが参加した。
次回会合は12月を予定しており、モデル自治体の杉並区からの報告や、自治体間連携を進める上での課題を検討する予定。(10/11MEDIFAXより)