【特定行為】看護師特定認証で厚労省試案/チーム医療推進会議
厚労省は看護師特定能力認証制度の「試案(指定研修機関案)」を8月22日のチーム医療推進会議(座長=永井良三・自治医科大学長)に提示した。試案には、看護師による特定行為を法令上に位置付けることや、特定行為を行える看護師の研修機関を国が定めた基準に基づいて指定し、研修修了者を看護師籍に登録することなどを盛り込んだ。同会議は今後も意見集約に向けた議論を継続する。議論では、特定行為の法令上への位置付けや研修機関の指定などを通じて国が制度に関与することについて意見はおおむね一致したものの、看護師籍への登録などについて異論も出た。
これまで同会議は、看護師特定能力認証制度について▽特定行為を法令上位置付ける▽能力認証を受けた看護師は医師の包括的指示の下、一般の看護師は医療安全体制を確保した上で医師の具体的指示の下、特定行為を実施する▽厚生労働大臣が特定能力を認証する―などを示した「骨子案」をベースに議論を進めてきた。委員から、特定行為について「診療の補助の範囲であることをガイドラインなどで明確化する」、能力認証では「関係団体や関係学会など民間機関が専門性を持って自律的に能力認証を行う」などの提案も出されていた。
厚労省による今回の試案は、これまでの議論で特定行為を法令上に位置付けることや能力認証に国の関与が必要とする意見が多かったことを反映させた。特定行為の追加・改廃、研修機関の指定基準の検討・指定を行う審議の場を設置することも提案した。審議の場には医療関係職種の参加を求める。国の関与は研修機関の指定などにとどめ、骨子案にあった大臣認証より薄めた。
試案に対し、会議では大久保清子委員(日本看護協会副会長)が「能力認証の要件が研修の修了で試験がない。能力の担保について危惧される」と指摘。藤川謙二委員(日本医師会常任理事)は「医師は専門医の認定証をもらっても、医籍に登録されるわけではない」と述べ、能力認証を看護師籍に登録する必要性について疑問を呈した。この点について医政局の大谷泰夫局長は「本人にも医療機関側にも能力認証の有無が明確に分かるということが趣旨。さらに整理したい」と応じた。
●学会による認証を/藤川委員
藤川委員は永井座長に意見書を提出し、「法令上に特定行為を列挙していくことは現場での対応が困難で混乱が起こる。比較的高度な医行為はガイドラインによる対応をすべき。また、比較的高度な医行為を実施する場合の教育や研修は専門学会などの研修プログラムで実施し学会が認証すべき」との考えを示した。藤川委員は意見書も踏まえ、試案について「賛成できかねる」とした。(8/23MEDIFAXより)