【特定行為】包括的指示では看護師が病態確認/能力認証制度で厚労省
厚生労働省は11月20日、「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)」(座長=有賀徹・昭和大医学部教授)の会合に、能力認証制度で一定の研修を受けた看護師が医師の「包括的指示」に基づき診療の補助として特定の医行為(特定行為)を行うまでの流れをまとめた資料を提出した。包括的指示の対象になった患者については看護師が病態を確認し、特定行為を実施するか医師に再び指示を求めるかを判断するとした。
包括的指示が成立する条件としては▽事前に作成されたプロトコル(教科書的対応)を適用する患者が医師により特定されている▽病態の範囲が明確に示されたプロトコルに基づき、看護師が理解できる指示内容である▽対応可能な範囲を逸脱した場合は早急に医師に連絡を取って指示が受けられる体制が整えられている―を挙げた。
包括的指示に基づき、医師が特定した患者について、看護師がプロトコルに規定されている病態の範囲にあるかを確認し「特定行為を実施する」か「医師の指示をあらためて求める」か判断することが想定できるとした。
厚労省は、現在すでに一般の看護師が実施している法的には“グレーゾーン”とされる医行為を想定し、医師の「具体的指示」に基づいて特定行為を実施するまでの流れも示した。具体的な指示に基づく場合、患者の病態は医師が全て確認し、看護師が特定行為を実施するとした。
●あらためて反対意見/日医・藤川常任理事
会合に参考人として出席した日本医師会の藤川謙二常任理事は、医師の具体的指示で一般の看護師がプロトコルに基づき安全に行える特定行為を認め、看護師全体の水準を向上させる方向性には理解を示した上で、「包括的指示を出しても、さまざまな合併症があり、プロトコルに収まらないのが現状」と述べ、包括的指示に基づいて看護師に特定行為を認める枠組みにあらためて反対した。
これに対し竹股喜代子構成員(亀田総合病院看護部長)は「医師もコメディカルも少ない地方の病院は総力戦でやっている」と理解を求め、秋山正子構成員(ケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長)も「在宅でも、都内は連携できる医師は多いが、医師の少ない地域では、目の前で患者の状態が変わる中で、グレーでやってきた」と述べた。(11/21MEDIFAXより)