【特区】3府県医共同で特区対応委/兵庫県医・川島会長「警戒必要」
兵庫県医師会の川島龍一会長は7月5日、神戸市で開いた報道機関との懇談会で、政府が進める医療イノベーション5カ年戦略の一部に対して厳しく批判した。川島会長は、京都府、大阪府、兵庫県、京都市、大阪市、神戸市が進める「関西イノベーション国際戦略総合特区」と、大阪府と泉佐野市が進める「国際医療交流の拠点づくり『りんくうタウン・泉佐野市域』地域活性化総合特区」には強い警戒が必要だとして、兵庫・大阪・京都の3府県医師会共同で「特区対応委員会」を立ち上げたことを明らかにした。7月7日に初会合の予定。
関西総合特区に関しては、医療の産業化と地域格差拡大につながると指摘。りんくうタウン特区に関しては、診療所での外国人医師・看護師研修に関する規制緩和が盛り込まれていることを警戒した。3府県の対応委員会について川島会長は「共通のコンセプトづくりをして今後の対応具体策を協議する。看過すれば特区とはいえすぐに全国に浸透してしまう規制緩和が多く、3府県の責任は重い」と述べた。
イノベーション戦略関連では、個別化医療の基盤づくりを目的に大規模バイオバンクを構築するとしている「東北メディカル・メガバンク計画」に関しても懸念を表明。東日本大震災の被災地を対象に復興支援の一つとして進められることを「地域の脆弱さにつけ込んだ強引な手法で、遺伝子情報の国家管理につながる疑念は強い」とした。これについても兵庫県医として、東北の関連医師会と7月末にも協議する場を設定する準備を進めている。国立がん研究センターが始めたバイオバンク用採血の「包括同意窓口」にも厳しい警戒が必要と強調した。
兵庫県では県立こども病院のポートアイランド移転計画が問題になっているが、反対の立場を取る川島会長は「東日本大震災で見せつけられたベイエリアの病院施設の壊滅的状況から(推進側は)何も学ぼうとしない」と批判。移転計画は地域医療再生基金を使うことが前提であるにもかかわらず、交付条件となっている「地域医師会の意見聴取」を兵庫県が行っていないとも指摘した。(7/9MEDIFAXより)