【消費税】非課税は違憲か合憲か、消費税訴訟が結審/判決は10月16日  PDF

【消費税】非課税は違憲か合憲か、消費税訴訟が結審/判決は10月16日

 兵庫県民間病院協会(吉田耕造会長)の4病院が、社会保険診療が消費税非課税となっているのは憲法違反だとして、国を相手に提訴した訴訟は6月26日、神戸地裁(栂村明剛裁判長)で結審した。判決は10月16日。

 原告側は、控除対象外消費税の発生について課税の公平性の観点から司法の判断を求めており、非課税そのものが違憲だとして、4病院がそれぞれ損害の一部として一律1000万円(計4000万円)の賠償を請求している。一方、国側は、社会保険医療サービスは国民の生命・健康の維持に直接関わるとして非課税の正当性を主張。医療機関の負担については、診療報酬改定で制度的な手当てはされていると主張している。2010年9月28日の提訴以来、6月26日を含めて9回の口頭弁論が開かれた。

 この訴訟をめぐっては、仮に神戸地裁が「現行の非課税は妥当」との判断を示した場合、「課税」を求める医療関係団体の今後の要望活動にとって足かせになるとして、原告に対して取り下げを求める声が病院団体関係者から出ている。

 結審を前に原告を代表して特定医療法人中央会尼崎中央病院の吉田静雄理事長(同協会副会長)が意見陳述した。被告の国側からの反論陳述はなかった。吉田理事長の主張要旨は以下の通り。

 ▽社会保険診療報酬は非課税のため、仕入れ先に支払った消費税の還付が受けられない。一般の事業者と違って病院は一方的に消費税を負担させられている。

 ▽病院は薬剤、診療材料、高額医療機器の購入など必要な仕入れが多く、施設の建築、修繕にも多額の消費税を支払っている。病院は毎年、少なくとも数千万円の消費税を払っている。(自医療法人でも)8000万円以上の消費税を支払っている。

 ▽国は社会保険診療報酬の改定で負担分は手当てされていると言うが、実際には全く解消されていない。何千もある項目のうちわずかな項目の報酬改定で平等に解消されるはずはない。根本的な疑問として、診療報酬改定で消費税分を上乗せするというのでは、患者が消費税分を負担していることになり、非課税の意味がない。医療に関しては消費税の仕組みそのものに大きな問題がある。

 ▽現在、医療機関の経営環境は悪化している。このような状況下で間もなく消費税が改定される。税率10%になると私たちの負担は2倍になる。倒産する病院が続出することは目に見えている。地域医療の崩壊は国民にとって大きな不利益だ。

 ▽適正に法律を変えれば、患者が消費税を負担しなくても仕入税額控除はできるはず。全国の医師会、病院団体は見直しの要望を毎年のように国に出している。国も最近、この問題を重要視して中医協で検討することになったが、診療報酬の中で手当てするとの立場がなお有力という状況にある。それではこの問題は解決しない。(6/27MEDIFAXより)

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