【民主】「社会保障改革の将来像の基本思想」で中間まとめ/民主調査会  PDF

【民主】「社会保障改革の将来像の基本思想」で中間まとめ/民主調査会

 民主党の社会保障総合調査会(長妻昭会長)はこのほど、「今後取り組むべき社会保障改革(年金・医療・介護・子育て)の将来像の基本思想」の中間報告書を取りまとめた。「熟年国家に見合った、持続可能な共生社会モデルを積極的社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)により実現する」というゴールを設定した。格差を縮小し、全ての人に居場所と出番がある社会を目指す。

 報告書は2013年9月から12月にかけて同調査会で検討を重ねてまとめた。自民の政策を“企業中心モデル”と捉えた上で、民主は“共生社会モデル”を打ち出し、対立軸を明確にする。国会質疑などを通じて民主の主張を粘り強く訴えていく構えだ。同報告書の最終版は6月下旬から7月ごろに取りまとめる考え。

 自民が「自助を基本」に据えているのに対し、民主は「共助・公助で自助を支える」というスタンスを取る。また民主は、自民が「社会保障や格差是正は経済成長のお荷物」と言わんばかりの政権運営をしているとし、「社会保障の充実・格差是正は、結果として成長の基礎を作る」とのスタンスで差別化を図る。

 13年末に決定した14年度政府予算案では、消費増税による社会保障費の充実分は5000億円となったが、民主は「本来、少なくとも1兆円に増額すべきだった」との立場を貫き、報告書に増額分の使い道を明記した。具体的には▽協会けんぽの国庫負担引き上げによる中小企業の保険料負担軽減▽診療報酬の引き上げ▽介護職員賃金アップ▽小児がんや難病患者の自己負担アップの中止▽保育園の人員配置基準引き上げによる保育の質の向上▽非正規雇用の年金や医療保険の適応拡大―などに使うべきだったとしている。公共事業への財源流用は認めず、社会保障を重視する。

 医療・介護分野では、予防に力を入れて健康寿命を延ばし、医療機関の受診者数を減らす。その結果として医療・介護費を抑制する。高額療養費制度の見直しについては「疾病名の違いにより医療費助成の仕組みが違うことは望ましくない」との考えから、疾病名によらず過度な負担を軽減する仕組みを構築する。具体的には「医療・介護の基金方式」を各保険者の再保険制度と組み合わせる制度を検討する。この他に、医療・介護・保育やそれ以外の社会保障サービスの自己負担額も合算して、一定額で家計の負担を頭打ちにする「総合合算制度」の実現にも力を注ぐ。(1/22MEDIFAXより)

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