【死因究明】内閣府の死因究明制度、財源問題で迷走か
内閣府の死因究明等推進計画検討会(座長=川端博・明治大法科大学院専任教授)は11月22日、診療関連死以外の死因究明の新制度について、委員と事務局から出た3案の検討を行った。3案のうち事務局案は一部委員から批判の声が出たために取り下げる方針だが、残り2案とも財源問題などを抱えており、次回あらためて比較・議論する。
「1案」は、前回3委員が提示した「日本死因究明機構(仮称)」の創設案。機構は死因究明や身元確認のための調査が的確に行われるための標準的な技術的指針を策定するほか、死因究明・身元確認に関する調査・研究などを実施する公益財団法人を目指し、東京に本部を設置する。希望する都道府県には、本部の支援を受けながら支部を設置。現在大学の法医学教室が行う解剖・検査を請け負う。主な収入は省庁からの拠出や関連団体からの寄付など。検案については日本医師会主導で、各都道府県医師会が検案医を適切に研修・指導する体制を構築するとしている。
「2案」は、東京都で行われている監察医制度の全国展開。各都道府県に監察医務院を設置し、国は責任主体として制度整備のための指針を定め、財源確保にも取り組むとした。監察医が警察や遺族の意向に左右されず精度の高い死因判定・解剖などを行うために、いつでも検査・解剖できる施設も設置するとした。
事務局提出の「3案」も前回提出済みで、基本は監察医制度の展開。知事が大学の法医学教室の教授を監察医に任命し、非常勤監察医を軸に自治体に応じた体制を構築する。教室に隣接した監察医事務所で立会い・検案などを行う。死亡時画像診断(Ai)や薬物検査などを対象とした財政支援を厚生労働省などが行う一方、検案の費用を均一化して遺族が負担することで展開を図るとした。
事務局側の説明によると、議論では「2案」を提出した福永龍繁専門委員(東京都監察医務院長)が遺族負担のある事務局案について「理念のない制度にすることはできない」と述べるなど、批判が噴出。事務局側は「3案」を降ろすことを決めたが、内閣府によると、国の財政状況などから「1案」「2案」とも各省の足取りが重い状況となっている。(11/25MEDIFAXより)