機能分化へ「報告内容」の議論開始/厚労省、有床診も対象
厚生労働省は11月16日、「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」の初会合を開いた。学習院大の遠藤久夫教授を座長に選出し、病床の機能分化を推進するために導入する「報告制度」の具体的な内容について議論を開始した。厚労省は、有床診療所も報告制度の対象になるとの見解を示した一方で、療養病床については検討会での議論を求めた。
新しい仕組みでは、各医療機関が病棟ごとの医療機能を都道府県に報告する。同検討会は、各病棟が担う医療機能をどのような類型に分けるかを決め、その類型ごとに報告を求める具体的な事項定める。どのような病棟を「急性期」とするのかなど、定義付けも焦点の一つだ。
会合では、厚労省が示した論点に基づいてフリーディスカッションした。厚労省が示した論点は▽「急性期」「亜急性期」「回復期」など医療機能ごとの主な患者像や、求められる医療の内容は何か▽各医療機関が病棟の医療機能を選択する際の判断基準はどのようにすべきか▽考えられる医療機能として「急性期」「亜急性期」「回復期」のほかに「地域一般」「障害者・特殊疾患」など、位置付けるべき医療機能にはどのようなものがあるか▽医療機関がどのように病床機能の情報を提供し、都道府県がどのようにその情報を公表すれば患者や住民に分かりやすい病床機能情報となるか─の4点。
三上裕司構成員(日本医師会常任理事)は「病状が軽症でも早期であれば『急性期』なのかどうかや、重度慢性期のように十分な人員配置が必要な状態をどう位置付けるのかも議論すべき」と提案した。「急性期から慢性期まで全てをみる病床も存在する」とも指摘し、社会保障・税一体改革の改革シナリオで2025年度に20万床程度を見込んでいる「地域一般病床」についても議論すべきとした。
日野頌三構成員(日本医療法人協会長)の代理で出席した同協会の加納繁照副会長は「75歳以上高齢者と若年層では急性期の疾病構造が異なる」と指摘し、75歳以上の高齢患者の急増が見込まれる状況を見据えた検討が必要との考えを示した。
松田晋哉構成員(産業医科大教授)は、医療機能ごとに報告を求める事項はレセプトコンピューターのデータを分析して検討できるとの考えを示した。
●医療法等改正案「13年の通常国会に」/吉岡総務課長
医政局総務課の吉岡てつを課長は「医療提供体制全般について、法制化が必要な事項をまとめて『医療法等の改正案』として、できれば次の通常国会に提出したい」との考えをあらためて表明した。その際は報告制度の法律案も含まれるとし「法律の案ができたら1月か2月になると思うが、この検討会でも確認してもらう」と述べた。
●検討会の構成員
▽相澤孝夫・日本病院会副会長▽安部好弘・日本薬剤師会常務理事▽遠藤久夫・学習院大教授▽尾形裕也・九州大大学院医学研究院教授▽高智英太郎・健康保険組合連合会理事▽齋藤訓子・日本看護協会常任理事▽西澤寛俊・全日本病院協会長▽花井圭子・日本労働組合総連合会総合政策局長▽日野頌三・日本医療法人協会長▽松田晋哉・産業医科大教授▽三上裕司・日本医師会常任理事▽山口育子・NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長▽山理・新潟県福祉保健部副部長(五十音順、敬称略)(11/19MEDIFAXより)