【概算要求】社会保障費、自然増9900億円を容認/概算 要求基準を閣議了解
政府は8月8日、中期財政計画と2014年度予算概算要求基準(シーリング)を閣議了解した。閣議の前に経済財政諮問会議が開かれ、中期財政計画と概算要求基準を安倍晋三首相に答申した。14年度概算要求基準では予算総額に上限を設けるのではなく、税収と歳出の差を重視して財政収支を改善する。医療・介護・年金などの社会保障費は9900億円の自然増を認めた。ただし、社会保障費の合理化・効率化に最大限取り組み、14年度予算に反映させるという条件も付いた。
各省庁の裁量的経費は、前年度予算から10%以上削減して予算要求する(要望基礎額)。浮いた財源で「新しい日本のための優先課題推進枠」という要望枠を設け、各省庁が要望基礎額の30%以内で要望できる。要望枠は3.6兆円となる見通しだが「基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の改善目標を達成できる範囲内で措置する」という条件が付いた。逆に諸経費を圧縮できた場合は要望枠に上乗せできる。
各省庁には概算要求を行う段階で、施策・制度の抜本的な見直しや、各経費の優先順位付けが求められる。その際、民間需要やイノベーション誘発効果が高いもの、緊急性が高いもの、規制改革と一体で講じられるものを重視する。また、既存のあらゆる予算措置を従来の予算計上方法にとらわれず、ゼロベースで見直すことになる。概算要求の提出期限は8月31日。
●社会保障費、歳出・歳入両面で財源確保/中期財政計画
中期財政計画では、15年度に国・地方のPB赤字対GDP比半減という目標達成に向けて、14年度と15年度にそれぞれ前年度比で4兆円程度、PBを改善する目標を掲げた。国債の新規発行額も抑え、14−15年度にかけて前年度を上回らないように最大限努力する。
20年度までにPBの黒字化を達成し、その後は債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す。その際、社会保障費については、制度改革を含めた歳出・歳入両面の取り組みで財源確保を検討する。今後の予算編成では、歳出増や歳入減の影響が出る施策を行う場合、それに見合った財源を確保することを原則とする。今秋以降、持続可能な財政と社会保障の構築に向けた取り組みを諮問会議で検討していく。(8/8MEDIFAXより)