【概算要求】厚労省概算要求、30兆5000億円/重点枠に医療アクセスなど
厚生労働省は8月27日、一般会計の総額を社会保障費の自然増9700億円を含む30兆5620億円とする2014年度予算の概算要求を発表した。重点枠で求めるのは1617億円で、良質な医療・介護へのアクセス確保を目指したドクターへリの拡充や、地域包括ケア推進の関連予算などを盛り込んだ。診療報酬改定や、13年度で期限が切れる地域医療再生基金の取り扱いなどは12月の予算案策定までに検討する。消費増税に伴う社会保障の充実と支出増についても、安倍晋三首相の増税判断を受けた上で予算編成過程で検討する。
14年度予算概算要求額は、自然増を含め13年度当初予算より3.8%伸びた。年金・医療などの経費は29兆1235億円。自然増9700億円の内訳は、医療が最大で3535億円を占める。年金は3047億円、介護が1470億円、福祉等が1680億円だった。
概算要求に当たり発表されたシーリングでは、各省庁の裁量的経費を前年度予算から10%以上削減し、削減後の金額(要望基礎額)の30%以内で重点枠「新しい日本のための優先課題推進枠」の要望ができるルールが設定された。厚労省は13年度予算の裁量的経費約6000億円の10%に当たる600億円を削減し、残った5400億円の要望基礎額に上限の30%を掛けた1617億円を重点枠で要望した。重点枠は、主に6月に閣議決定された「日本再興戦略」を踏まえた内容となっている。
●「断らない医療機関」で新規23億円
重点枠には▽予防・健康管理の推進▽日本版NIH創設に伴う医療分野の研究開発促進▽医療関連産業の活性化▽良質な医療・介護へのアクセス確保―などを盛り込んだ。
予防・健康管理では、レセプト・健診情報を活用した保険者のデータ分析に基づく保健事業の推進で97億円を要求する。良質な医療・介護のアクセスでは、ドクターヘリの運航体制拡充で119億円を要求。新規項目として、長時間搬送先が決まらない救急患者を一時的でも断らずに受け入れる医療機関の確保で23億円、診療行為や治療結果を一元的に蓄積・分析・活用する関係学会の取り組み推進に4.2億円、研修病院への専門医養成プログラムの作成支援に9.7億円を求める。感染症対策で79億円、地域包括ケアの推進では38億円を計上する。
日本版NIHの創設とそれに伴う医療分野の研究開発促進では、関連予算を1082億円要求する。内訳は、日本版NIHの下で革新的な医療技術を研究したり、新薬実用化までのスピードアップを図ることなどで524億円、国立高度専門医療研究センターの体制整備で545億円、がんなどの予防・診断・治療法の開発で13億円となっている。これらNIH関連では、151億円が重点枠の要求に位置付けられている。(8/27MEDIFAXより)