【概算要求】医療イノベや在宅強化で30兆円に/厚労省13年度概算要求  PDF

【概算要求】医療イノベや在宅強化で30兆円に/厚労省13年度概算要求

 厚生労働省は2013年度予算の概算要求で、社会保障費の自然増分8400億円や特別重点要求など1088億円を含む30兆266億円の予算額を要求する。9月5日の民主党・厚生労働部門会議で概要を示した。9月7日に財務省に提出する。一般会計での要求額は12年度予算額より8514億円(2.9%)多く、初めて30兆円の大台に乗った。

 概算要求のうち年金・医療などの経費では、自然増分を含めて28兆6338億円を要求する。裁量的経費を削減した上で要求する特別重点要求・重点要求は1088億円を求める。

 特別重点要求では▽医療イノベーション5か年戦略の推進(411億円)▽地域医療強化のための緊急対策(105億円)▽認知症施策推進5か年計画の実施(37億円)▽質の高いがん医療提供体制構築(129億円)―の予算を求める。医療イノベーションでは、革新的医薬品・医療機器の創出を目指して医薬基盤研究所を中心とした「創薬支援ネットワーク」を構築する経費として41億円を要求するほか、がんや難病・希少疾病、肝炎など8領域の有望シーズの実用化支援に139億円、臨床研究中核病院の整備・拡充に61億円を要求する。臨床研究中核病院については既存の10カ所の体制強化に加え、新たに7カ所を整備し、難病・希少疾病・小児疾患などの医師主導治験の実施・ネットワーク構築の基盤とする考えだ。

●在宅医療推進で全国に連携モデル
 地域医療の緊急対策では在宅医療連携体制の推進を目指して、在宅患者の病状急変時対応の連携モデルとして52カ所、NICU・GCU退院促進の連携モデルとして52カ所をそれぞれ整備するため、20億円の予算を要求する。在宅医療の充実強化策ではこのほか、小児在宅医療患者の相談支援体制で8カ所、薬局を活用した薬物療法提供体制で32カ所の連携モデルを整備したい考え。災害時に在宅医療サービスを提供する体制に向け、81カ所の連携モデルを整備する予算として東日本大震災復興特別会計で10億円を要求する。

 がん対策では、子宮頸がん検診の早期発見を目指して細胞診に加えてHPV検診を30代女性に実施するなど、罹患率が高い女性の乳がん・子宮頸がん検診を重点的に実施するため、116億円を要求する。

 12年末の予算編成過程で検討することになる「事項要求」としては▽医療保険での70−74歳の患者負担の取り扱い▽社会保障・税番号制度関係システムの導入▽高齢者医療支援金の総報酬に応じた負担・協会けんぽの国庫補助の取り扱い▽難病対策、高額療養費制度などの見直し―を挙げた。(9/5MEDIFAXより)

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