【概算要求】医療の勤務環境改善へ、全国に「支援セン ター」/厚労省概算要求
厚生労働省は、各医療機関による主体的な勤務環境改善を推進するため、全都道府県に「医療勤務環境改善支援センター(仮称)」を設置するための経費を2014年度予算概算要求に盛り込む方向で具体的な検討に入った。支援センターの専従スタッフなどが医療機関の相談に応じ、労働環境の改善に取り組む医療機関のニーズに応じてオーダーメードで支援していく構想。医療スタッフの働きやすい環境づくりと医業経営の両立を図る医療機関をバックアップする拠点としたい考えだ。支援センターの設置主体は都道府県とし、医療関係団体などに委託することも想定している。
厚労省は医療分野の雇用の質向上に向けて▽院長など医療機関のトップが参加し、自主的に勤務環境改善を促進するマネジメントシステムを普及させる▽マネジメントシステムに基づいて勤務環境改善のための計画を策定し改善に取り組む医療機関を支援する体制づくり―を柱とする方針を打ち出している。マネジメントシステムは、経営トップが参加する委員会が勤務環境改善計画に基づき「PDCAサイクル」を回すイメージで、厚労省は13年度の研究事業でガイドライン(GL)の策定に向けた検討を進めている。
14年度予算の概算要求では、厚労省の医政局と労働基準局が連携して予算要求し、都道府県が支援センターを立ち上げる際に最低限必要な人員整備を金銭面からバックアップする。医政局は「医業分野アドバイザー事業(仮称)」として、診療報酬制度や医療に関する法律面、医療経営、組織マネジメントなどの専門家を各医療機関に派遣する体制を整えるための経費を確保する。労基局は「労務管理支援事業(仮称)」として、支援センターに医療労働相談員を配置するための経費を確保し、社会保険労務士会や医業経営コンサルタント協会などと支援センターとの連携を後押しする。
●医療法への規定も検討
厚労省は、医療勤務環境改善支援センターを医療法上に位置付けることも検討中だ。支援センターの要件や必要な人員体制などを厳しく一律に規定するのではなく、地域の実情を勘案して都道府県が工夫できる仕組みとなるよう、支援センターの機能を医療法に規定する方向で検討している。今秋の臨時国会に提出予定の「医療法等の一部を改正する法律案(仮称)」に盛り込むことを目指し、社会保障審議会・医療部会で具体的に議論する。(8/2MEDIFAXより)