【未収金】未収金額が増加に反転、日病調査で/病院当たり年間1108万円
四病院団体協議会が2006年と10年に行った調査で減少傾向を示していた病院の未収金は、日本病院会が実施した12年調査で1病院当たり1108万円に上り、増加傾向に転じていることが明らかになった。この額を基に、11年4月から12年3月までに全国8571病院で発生した1年間の累積未収金を推計すると935億円となり、3年間では2147億円に上るとした。日病は、患者への啓発活動などを重ねていくことが重要と指摘。今後、四病協としての広範な調査も必要とした。
日病の今回の調査は12年9月7日−10月26日の調査期間に、会員病院2375施設を対象に▽11年4月−12年3月の1年間▽09年4月−12年3月の3年間─の未収金の発生状況を調べた。回答病院は650施設。
四病協の過去の調査では、1病院当たりの年間未収金額は06年調査で715万9624円だったのが、10年調査で548万2217円に減少していた。しかし日病の12年調査では1108万3782円となり、10年調査から倍増する結果となった。
日病の12年調査では、近年の未収金発生が「増加した」とした回答が128施設、19.7%で約2割を占めた。病床規模と未収金発生額が比例していたほか、病院機能別では、一般病院の未収金額が最も高く、以下、精神科病院、ケアミックス病院、療養型病院の順だった。未収金の発生原因(重複回答)は、「生活困窮」が96.5%でほぼ全ての病院で経験していた。このほか「悪質滞納」が78.5%、「保険未加入」63.5%、「時間外・休日退院」57.5%、「診療上のトラブル」53.1%などとなった。
●保険者徴収は2.2%と低調
病院が実施している未収金の回収方法は「電話催促」「債権回収業者の利用」や「回収専門部署の設置」「裁判所による支払督促」などだった。一方、厚労省が10年の保険局長通知で実施基準を明確化した「保険者徴収」については、2.2%の病院しか活用しておらず低調な結果となった。理由について日病は、未払い一部負担金の額が実施基準の60万円以上かどうかの確認や、療養終了から6カ月後に少なくとも1回は自宅訪問するなどの条件が厳しく、活用が困難だったと分析している。
日病は「マイナンバー制」の医療現場での活用など厚生行政と連携を図りながら、未収金支払いの催促を無視する患者については「医療適用から外すなどの総合的な仕組みづくりの中で、この問題の解決を図ることも考えられる」としている。(3/26MEDIFAXより)