【日医・四病協】「亜急性期」外し病床機能4分類/日医と四病協が合同提言  PDF

【日医・四病協】「亜急性期」外し病床機能4分類/日医と四病 協が合同提言

 日本医師会と四病院団体協議会は8月8日、医療提供体制の在り方に関する合同提言を公表した。責任を持って切れ目のない医療提供を進めることを日医と病院団体が宣言する内容。病院病床の機能分化に向けて厚生労働省が検討している報告制度については、病床区分を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに整理する案を提言した。

 区分案によると、「高度急性期」は救命救急センターや集中治療室など専門医が常時配置されている病床。「急性期」は急性期医療を提供する機能を持つ病床で、重症・中等症・軽症の病態に対し、各病院の機能に応じた医療を提供する。在宅や介護施設などの患者の急性増悪(サブアキュート)に対応するほか、2次救急も担う。地域包括ケアを推進するため、かかりつけ医との連携機能、介護との連携、患者支援などの機能も持つ。地域の医療ニーズに応じて、多くの診療科を総合的に持つ病院病床、特定の専門分野の病院病床、地域に密着した病院病床が必要で、きめ細かな報告制度を求めた。

 「回復期」は急性期経過後で引き続き入院医療が必要な患者に医療を提供する機能を持ち、ポストアキュートや回復期のリハビリテーションが含まれる。「リハビリテーションが必要な患者に専門的リハビリテーションを提供する病床とそれ以外の病床がある。一般病床でも療養病床でもこの機能を報告できることとすべき」とした。

 「慢性期」は長期にわたり療養を必要とする患者に医療を提供する。方向性として「地域の高齢化の実情と客観的な将来予測などを踏まえて他の提供体制と合わせて適切に構築されるべきで、介護療養病床の廃止は見直していく必要がある」と示した。

 日医の横倉会長は「病院病床の改革に関する具体的な姿を初めて示した」と意義を強調。「シンプルで国民に分かりやすい区分を提言した。その上で病院の機能を地域の客観的な将来ニーズに即して柔軟に組み合わせて実現していくことを提言している」と述べ、病床報告の観点から簡素な形式に努めたと説明した。

●ポストは回復期、サブは急性期
 今回の4区分にない「亜急性期」については、全日本病院協会の西澤会長が「亜急性期にサブとポストがあるなら、それを定規で分けると、ポストは回復期に入っている」と説明。「いわゆるサブは急性期」と説明した。

 日医の中川俊男副会長も「強調したいのは亜急性期が消えていること。厚労省は亜急性期病棟をつくり、高齢者は急病になっても軽症急性期に分類したいと考えている。しかし軽症急性期は結果。高齢者が病気になって、まず急性期ではなく亜急性期に入るようでは差別につながるのではないか」と述べた。

●かかりつけ医の定義と機能を明記/
 合同提言には、日医が重要視している「かかりつけ医」に対する共通の定義も盛り込んだ。両者でかかりつけ医の定義をまとめたのは今回が初めてで、日医の横倉義武会長は会見で「初めて定義を明らかにし、それを病院団体とともに点検したことは大きい」と意義を強調した。

 かかりつけ医は「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義した。

 かかりつけ医が担う機能としては▽日常の診療で患者の生活背景を把握し、適切な診療および保健指導を行う。自身の専門性を超えて診療や指導を行えない場合は地域の医師、医療機関などと協力して解決策を提供する▽自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるように、地域の医師、医療機関などと必要な情報を共有し、互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する▽日常の診療のほかに、地域住民と信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健など地域の医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに、保健・介護・福祉関係者と連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるように在宅医療を推進する▽患者や家族に対して医療に関する適切で分かりやすい情報提供をする―とする4つを挙げた。

 その上で日医と四病協は率先して、かかりつけ医をはじめとする在宅医療に携わる医師らの養成・研修を支援するとした。新たな専門医制度をめぐる「総合医」や「総合診療医」などの名称については「引き続き議論し、国民がどのように受け止めているかを見極めつつ、あらためて整理する」と明記した。

 横倉会長は「かかりつけ医の定義と機能は、われわれ医師自らに厳しい要求水準を課すものでもある」と説明し、かかりつけ医が担う社会的責任の大きさを強調。かかりつけ医に関する国民の理解をさらに深めていく必要性があるとも述べた。

●有床診の意義も明記
 合同提言は有床診療所の意義も盛り込んだ。有床診が担う機能に▽病院からの早期退院患者の在宅・介護施設への受け渡し機能▽専門医療を担い病院の役割を補完する機能▽緊急時に対応する医療機能▽在宅医療拠点としての機能▽終末期医療を担う機能―を掲げた。地域密着多機能型の入院機能を担うことが期待される点などを挙げ、地域の実情に応じて柔軟に活用できるようにすべきとした。(8/9MEDIFAXより)

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