【日医】IT化進展で「保険者徴収」の環境整う/日医総研  PDF

【日医】IT化進展で「保険者徴収」の環境整う/日医総研

 日医総研は10月4日、公的医療保険制度のIT化に伴い、保険者が患者の一部負担金を徴収する「保険者徴収」を進めるべきとの提言を発表した。レセプト電子請求の普及に伴い、患者が現金を持たずに受診できる保険者徴収導入に向けた環境は整ってきたと指摘している。

 日医総研が公開したワーキングペーパー「IT時代の公的医療保険制度」では、一部負担金の保険者徴収の実施によって▽現金を下ろしたり、一部負担減免のための受給者証を持ち歩く手間が省ける▽受付での待ち時間が減る―など、患者のメリットも増えるとした。患者の「乱受診」が起きる可能性については、一部負担金を徴収することに変わりはなく、一部負担割合を下げなければ問題ないと考察している。

●医療事務の手間とコスト削減
 医療機関の立場からは▽一部負担金の差額を患者が過誤払いするケースがなくなる▽未収金の回収が不要になる▽他法併用・医療費助成制度などの一部負担金の複雑な計算が不要になる―などの利点を挙げ、患者への医療やケアに専念できるとした。

 保険者については、システムの大幅な変更・未収金回収といった手間が増える一方で▽保険者を統合すれば徴収業務を新たに行える▽一部負担金の徴収から支払いまでの期間の利息を得られる―といった展開も可能とした。

●電子決済化の代替案も
 一方で保険者徴収には▽診療報酬と同じく医療機関の収入が2カ月程度遅れる▽未だレセプトが手書きの医療機関もある▽健康保険法などの各法の大きな改正が必要―といった課題もあるとした。対応策としては、カード決済や決済機能付きの被保険証と決済端末の導入を挙げ、将来的にはマイナンバーである医療等ID(仮称)システムにも期待している。(10/5MEDIFAXより)

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