【日医】紹介なし初診1万円、強制徴収を提言/日医・病院委、再診は5000円
日本医師会の病院委員会(委員長=真野俊樹・多摩大大学院教授)は2013年度の中間報告をまとめ、外来の機能分化を進めるために、公的医療保険制度の範囲内で紹介状なしの初診患者から1万円を、再診患者から5000円を一部負担金として強制徴収する仕組みを提言した。9月18日の日医の定例会見で公表した。
同委員会は望まれる外来機能について、日医と四病院団体協議会が提言した「医療提供体制のあり方」に基づいて「かかりつけ医機能を中心に構築すべき」と提言。一方、現状では、軽症疾患であっても高機能病院を受診する「大病院志向」が根強いと指摘し、患者への啓発を通じて、高機能の病院は外来を縮小し専門外来に特化する方向に誘導することが望ましいとした。
外来機能分化を誘導するための方策としては▽患者への啓発で自発的に外来機能の分化を目指す▽韓国のように病院規模によって初診料の自己負担割合を変える▽選定療養の枠組みの中で自己負担金を徴収する▽公的医療保険制度の範囲内で患者の一部負担金を拡大する─の4つの案を示した。
このうち「公的医療保険制度の範囲内で患者の一部負担金を拡大」については、「社会保障制度改革国民会議で議論されているように、かつて外来薬剤一部負担が行われていたように公的医療保険制度の範囲内で、患者の一部負担の拡大という枠組みで制度化を行う」とし、こうした方法で一部負担金の追加徴収を義務化することが今回の提言の骨子であるとした。
日医の三上裕司常任理事は9月18日の定例会見で、中間報告が提示した紹介状なし患者の初診1万円、再診5000円という金額について「受療行動にある程度の影響を与え、不必要な大病院の受診を控えてもらうには、この程度ではないかということで設定された」と述べた。
中間報告では、こうした仕組みを導入することで、かかりつけ医の機能が強化する一方、高機能病院は一日当たりの外来患者数が減少しても、外来患者1人当たりの単価(追加負担金込み)が増加するため収入が増える可能性があり、医師に対する外来業務の負荷が減る効果もあるとしている。
三上常任理事は中間報告の今後の扱いについて「日医の意見として反映するかどうかは決めていない」としながらも、今後、中医協などに示す可能性もあるとした。(9/19MEDIFAXより)