【日医】移植医療めぐる生命倫理で答申/日医・第12次生命倫理懇  PDF

【日医】移植医療めぐる生命倫理で答申/日医・第12次生命倫理懇

 移植医療をめぐる生命倫理について検討を行った日本医師会の第12次生命倫理懇談会(座長=久史麿・日本医学会長)が報告書をまとめ原中勝征会長へ答申した。答申では「脳死と臓器移植」「組織移植」「生体臓器移植」の3分野について、現状や問題点を分析し解決策をまとめた。

 改正臓器移植法が2010年7月に全面施行され、小児からの脳死下臓器提供も可能となった。答申では小児臓器移植に関して▽脳死判定の困難さ▽児童虐待▽小児の自己決定権―の問題点を指摘。また、知的障害者は年齢にかかわらず臓器摘出を見合わせることとしている点について、今後、正面から検討すべきとした。

 現在、日本では「心臓弁・血管」「骨」「皮膚」「膵島」の組織バンクがあり、各組織の個々の専門医や施設の取り組みをベースとして学会レベルで全国的な整備と充実を図っている。答申では、自主的努力には限界があり、公的経済的支援の拡充が必要であるとして、組織移植も臓器移植法の対象に含める法改正を検討すべきとした。

 生体臓器移植に関しては「国内の臓器売買について厳正に対処すべき」とした上で、「日本が生体移植や再生医療の規制の緩い、倫理の回避地として利用される危険性が高まっている。日医は各方面と連携し、一層適切に取り組むことが求められる」と提言した。(3/8MEDIFAXより)

●「人体の不思議展」で見解
 また、答申には「人体の不思議展」に関する見解
も付記されている。遺体の扱いにおいて人の尊厳に
反する同展は倫理的に認められないとし、人の尊厳
を侵すのはどのような場合か社会に問題を提起し、
議論を喚起して、明確なルールを定める新たな立法
を考えていく必要があると指摘している。

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