【日医】特区は日本の医療揺るがす問題/日医・対策委が見解
2012年に設置された日本医師会の特区対策委員会がこのほど、特区構想に対する見解を初めてまとめた。「医療分野に関する特区構想は日本の医療制度を根底から揺るがしかねない多くの問題を含んでいる」との立場に立ち、「株式会社の医療機関経営への参入」「保険外併用療養」など20以上の個別分野について意見を示した。日医の石川広己常任理事は3月19日の定例会見で「今の特区の現状と私たちの立場を示した」と述べた。
見解では、「株式会社の医療機関経営への参入」に対して、「医療は非営利」とした医療法の原則規定を挙げ「営利目的の株式会社が参入することに絶対反対」との立場を強調。地域住民のみならず、国民全体に不利益をもたらすことになると指摘し、容認できないとの姿勢を示した。国民に不利益をもたらす理由として▽営利目的の株式会社が参入しては地域医療の継続性が確保できない▽所得によって受けられる医療に格差が生じ、医療費が高騰する▽混合診療全面解禁への布石と国民皆保険の崩壊につながる―を挙げた。
保険外併用療養をめぐっては現行制度の仕組みを維持し、今後も先進医療などは全て評価療養の対象とし、有効性や安全性、効率性、社会的な妥当性が確保された段階で公的医療保険に速やかに収載することを基本にすべきと明記。「保険外併用療養の拡大によって先進医療などを公的保険に組み込むインセンティブが働きにくくなるなら本末転倒だ」と指摘した。
医学部新設をめぐっては、新設への期待ばかりが先行し、緊急的に対応すべき医師確保や医師偏在解消策が進まないことに懸念を示した上で、政府に対し、東日本大震災の被災地をはじめとした地域の医師確保策推進を求めた。
外国人医師の対応については、いわゆるクロスライセンスが進むことなどへの懸念を示した上で「外国人であろうとなかろうと、日本人患者と十分なコミュニケーションを保持し、良質な医療を提供することが可能か否かの一点に集約するべき」と指摘。病床の特例措置に対しては「特例は特例として基準病床数に関する既存の規制は可及的に継続すべき」とした。
このほか、再生医療やPMDA、薬剤師の業務など幅広い分野で見解を示した。(3/20MEDIFAXより)