【日医】未収金問題、PDCAで検証を/日医・今村副会長
日本医師会の今村聡副会長は取材に応じ、厚生労働省の検討会が2008年にまとめた医療機関の未収金問題に関する報告書に触れ、盛り込まれた対策が機能しているのか検証すべきとの認識を示した。「報告書には、提案された対策の効果を検証する必要がある、と盛り込まれている。PDCA(計画、実行、検証、改善)サイクルに基づいて、一度検証することが大切ではないか」と述べた。
厚労省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」の報告書は08年7月に公表され、保険者徴収制度の適切な運用に向けた実施基準の明確化や周知徹底の必要性に言及したほか、未収金を発生させないために?国保部分と福祉部門の連携強化?無料低額診療事業の検討?入院保証金の解釈の周知徹底―をはじめとした未然防止策などを盛り込んだ。これらを受け、厚労省はこれまで、患者一部負担金の未払い額が60万円超の場合を保険者徴収の対象とすることを盛り込んだ保険局長通知を出すなどしている。
同検討会に委員(当時は日医常任理事)として参加していた今村副会長は「往々にして『こういう対応を考えました』という話で終わりがち。(対応策が)機能したのか否かが検証されないままでいるのは、おかしいのではないかという思いがある」と指摘した。
●改善はアベノミクスで?
施策の効果?
報告書の公表から時間が経過している点などを挙げながら「厚労省でさまざまな立場が集まって検討したので、どのように(状況が)変わったのかについて、一度は公の場所できちんと評価した方がよいのではないか」「状況が改善したのは例えば昨今のアベノミクスによるのか、取り上げられた施策によるのか、病院の自主的な取り組みが進んで未収が減ったのか、などを検証するべき」と述べ、問題の現状把握に加え、社会的な背景なども調べる必要性があると訴えた。
検証する方法については「オフィシャルの権威が関与した形でやるべき」とし、公的な権限を与えられていれば必ずしも検討会の開催にはこだわらないとの考えを示した。「厚労省の検討会が未収金の現状を把握した上で08年に具体的な解決策を提示した。だからこそ一つ一つのメニューを検証すべき。その後の効果が分からず、現状(の未収金問題)が見えていないのが問題」とも述べ、必要に応じ現状把握のための調査を日医独自で行う考えも示した。(4/1MEDIFAXより)