【日医】日医、電子認証センターを本格運用/医師資格ICカード普及へ
医師本人の確認や地域医療連携の認証などに利用可能なICカード「医師資格証」の発行に取り組む日本医師会の「電子認証センター」が本格的な運用を開始した。これまで日医総研のORCAプロジェクトの一環として行われていた日医認証局の取り組みを、日医の内部付属機関の業務として推し進める。今後、資格証を普及拡大させ、医療分野のIT情報連携の進展と、それに伴うセキュリティーの確保に役立てたい考えだ。
●「電子署名」と「認証」に利用
「資格証を持っていれば本人確認が簡単にできて医療のIT化にも対応できる」。資格証の狙いを一言で表せば、このようになる。今後、行政機関などとの協議が進めば、本人の顔写真が添付されたICカードの医師資格証を持っていれば災害現場などで医師免許証が無くても本人確認ができるようになり、いわゆる「なりすまし」の防止が期待できる。カードリーダーを使ってパソコンにその情報を読み込ませれば、民間事業者などが情報技術を利用して書面の保存などを行う際の取り決めをまとめた「e−文書法」に沿う形で、電子署名のある電子紹介状などのやり取りが可能になる。
また、各地域で展開されている医療連携システムにアクセスする際の「認証カード」として、機微性が高い情報を利用する場合の本人確認にも利用できる。
認証センターは資格証の発行以外に、これから医療連携を構築しようとする地域に対するコンサルタント業務も行い、地域の基盤構築を助ける役割なども担う。
●複数のチェック体制で信頼性確保
資格証の特長を生かすには、カードに高い信頼性が担保されているのが前提だ。誤ったカードの発行を防ぐため、資格証を希望する医師には書類審査と対面確認を行う。
申請には発行申請書や医師免許証の原本、運転免許証やパスポートなどの身分証、住民票の写しが必要で、認証センターから設置許可を受けた地域受付審査局(都道府県医師会、病院など)で一次審査が行われた後、認証センターが提出資料や日医の会員情報システム、厚生労働省の医師等資格確認検索システムを活用して最終的な確認を行う。
申請者の負担を考慮し、必要書類の提出と対面確認は地域の郡市区医師会で行えるようにした。認証センターに書類を持参して申請することもできる。資格証は認証センターに必要な資料が届いてから2週間程度で発行される。年会費として、日医会員5000円、非会員1万円の費用がかかる。
認証センターは1月上旬、都道府県医師会に地域受付審査局の設置を依頼する文書を出した。各都道府県でこれらの審査体制の構築が進めば、資格証の発行実績も伸びると期待される。2月8、9の両日、東京・本駒込の日医会館で開かれる日医医療情報システム協議会では、資格証の申し込みを受け付ける特設ブースも設ける予定だ。(1/24MEDIFAXより)