【日医】医療基本法、国民会議で議論必要/民主議連・小西事務局長
民主党の医療基本法議連事務局長などを務める小西洋之参院議員は12月22日、日本医師会が日医会館で開いた「医療基本法(仮称)制定に関するシンポジウム」で、医療基本法の制定に向け、社会保障制度改革国民会議で具体的に議論すべきとの考えを示した。
小西氏は「(国民会議は)わが国が今後どういう医療を中長期的につくるのかという議論の場。あるべき医療の理念を描いて実現するプロセスを描いたとき、実現する手段は医療基本法そのもの」との考えを示した上で、「国民会議における具体的な議論のたまとして医療基本法を位置付け、そのプロセスの中で各党で議論いただきながら超党派で実現していくことが必要」と述べた。
想定される医療基本法の構成として▽医師と患者の相互信頼のさらなる構築などを基本とした「理念法」▽その他の事項も含んだ「総合的な理念法」▽より推進効力が備わる「計画体系」も含んだもの―3パターンを示した。
「計画体系」については医療事故調を例に挙げ、「どのような医療事故調をつくるかではなく、医療事故調について議論することを法律上位置付け、そういうものを(あるべき医療に必要なものとして)備えていくことを定めるシンプルな基本計画を作るようなことが形として考えられる」と述べた。
●「議員立法がふさわしい」/吉岡課長
厚生労働省医政局総務課の吉岡てつを課長は「まずは医療関係者の間でさらに議論が進められることが必要。政府が提出するよりも議員立法が適当と考えている」とし、「今日的に医療の基本というものは何かということが国民の合意の下、総合的な視点から法律が定められることが望ましいし、厚労省としてもありがたい。今後とも各団体や国会の動きを注視しながら、必要な協力・調整などの役割は厚労省としてしっかりと果たしていく」と述べた。
●「自由診療の規制なら意味ある」/自民・古川参院議員</b
一方、自民党の古川俊治参院議員は、単なる理念法であれば現行の医療法と大差ないとした上で、悪質な自由診療を規制するためなら医療基本法は必要との考えを示した。
古川氏は、iPS細胞やヒト幹細胞を用いた実験的な診療のほか、ヒトゲノム・遺伝子解析などを用いた悪質な診療でも、自由診療であれば規制できない状態にあると指摘し「極めて実験的な医療が自由診療で行われる可能性がある。ここ(の規制)を考えるべきで、医療基本法の実質的な意味はここではないか」と述べた。
自民党内では医療基本法は政策課題として議論の対象となっていない段階と説明した上で「(医療基本法を制定するという考えは)素晴らしいと思った」と感想を述べ、「バラバラに発展して複雑化した医療に関する法令領域を新たな価値観で整理統制することに意味はあるが、医療の理念だけであれば医療法1条2−4項ですでに網羅されている」との見方を示した。(12/26MEDIFAXより)